「日本最大の図書館蔵書検索サイト『カーリル』」
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株式会社カーリル
代表取締役 吉本 龍司さん
1982年 岐阜県中津川市生まれ
2000年 有限会社アールワイシステム設立
2001年 岐阜県立中津高校卒業
2005年 慶応義塾大学環境情報学部卒業後、フリーのエンジニアとして活動
2010年 Nota Inc(米国法人)開発グループにて、「カーリル」のアイデアを発案
2012年 「カーリル」事業を移管し、当社設立
【設立】2012年6月4日
【資本金】3,000千円
【所在地】岐阜県中津川市坂下1645-15
【事業内容】図書館蔵書検索サイト『カーリル』の運営
【売上高】8百万円(13/5)
http://calil.jp/
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「オープンデータを活用して、図書館をもっと楽しくしていきます」―日本最大の図書館蔵書検索サイト『カーリル』について教えてください。
特徴は複数の図書館から一発で蔵書を検索できる事です。公共図書館の93%を網羅するリアルタイムの蔵書データベースです。カーリルが現在対応している図書館は6400館で、大学図書館も80%以上を網羅しています。2013年6月の月間UU(ユニークユーザー)は35万人と昨年度170%増でしたが、伸び代はまだまだあると思っています。
―『カーリル』の開発経緯を教えてください。
実は社長経験は長くて、高校3年生のときに有限会社アールワイシステムを設立し、フリーのエンジニアの仕事を始めました。大学卒業後は静かなところで24時間没頭できる環境で仕事をしたいと思い、故郷に戻りWEB開発コンサルや地元自治体からのシステム開発受託の仕事をしていました。そこでフリーのエンジニアの仲間と“新しいウェブサービスを作ろう“を合言葉に定期的に合宿をしていました。その中で地域および生活密着型サービスをテーマに、オープンソースを活用した『カーリル』のアイデアが生まれました。私のモットーは「議論しているより作ったほうが速い」ですので、仲間と二人で寝ずに2ヶ月間で開発しました。
―図書館の蔵書データは誰もが自由に使えるのでしょうか。
各図書館はウェブ上に自分の蔵書データを公開しています。『カーリル』は、スクレイピング技術でWebサイトからデータ収集し、データ解析して統一的に見せています。公共データのオープン化は、アベノミクス「IT戦略」によって加速されていくと思います。
―今まで公共機関が行っていたサービスとの競合はありませんか。
全国の図書館ではそれぞれが蔵書管理システムを導入していますが、システムはバラバラ、画面もバラバラで、その図書館にある本しか探せません。国立国会図書館が行政事業として蔵書検索を行っていましたが対応する図書館は限定的でした。私たちは公共機関とも連携しながら利用者目線に立った民間のサービスとして『カーリル』を展開していきます。
―『カーリル』サービスは無料ですが、貴社の収益モデルについて教えてください。
アフィリエイト広告とデータ解析サービスです。自分が読みたい本は他の人も同じく読みたいので、貸し出し中が多くなります。そこにアマゾンなどのアフィリエイト広告を出します。また貸し出し情報は効果的なマーケティングデータとなります。出版会社などへリアルタイムで分かるデータ解析サービス提供を行っています。
―スマートフォンやタブレットへの対応はどのように進めていますか。
『カーリル』のAPIは無償公開して、誰でも図書館システムをタブレットおけるイノベーションに挑戦できる環境を提供しています。現在はカーリルデータが使われているスマホアプリが30以上あります。技術はオープンに、そしてコモディテイ化を推進して図書館インフラを作っていきます。富士通、NTTドコモなど大手企業との提携も進んでいます。
―海外の図書館にはこのようなサービスはありますか。
米国でも国立図書館(OCLC)などが蔵書サービスを行っていますが、多くの図書館はシステム化が遅れています。海外プレゼンはとても評判が良かったので、需要は間違いなくあると思います。現在はロサンゼルスのリトル東京図書館へ「WorldCat BASIC API」を使った洋書への対応から進めています。
―IPOについてはどのように考えていますか。
自分にとって働くことは生きることです。せっかくなら、楽しく生きたいし、楽しい仕事がしたいと思います。ウェブと図書館をつなぐ『カーリル』の取り組みも、電子書籍対応化など環境は激変していきます。IPOも必要になるかもしれません。一見お金になりそうもないところでも、楽しむという観点を大切に挑戦したいと思っています。(THE INDEPENDENTS 2013.7.17)
【緊急速報すぐメール】 米田 昌弘(バイザー株式会社 代表取締役)
※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年9月号 - p4-5にてご覧いただけます