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「廃木材再資源化のエキスパート」

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株式会社エコグリーン
代表取締役 石井 光暢さん

1971年 生まれ
1990年 正則学園卒業
1993年 拓殖大学卒業後、NECコンピュターシステム入社(NECファルコンズ所属)
1997年 当社設立、代表取締役就任
早稲田大学大学院卒業

設 立 :1997年5月 資本金:25,000千円
所在地 :東京都中央区八丁堀1-9-6 吉半八重洲通りビル8階
事業内容:住宅解体工事施工・産業廃棄物収集運搬・廃木材再資源化・環境コンサルティング
売上高 :1,331,490千円(12/3月期) 従業員数:53名
http://www.eco-g.com/

―エコグリーンの事業概要を教えて下さい。
エコグリーンは廃棄物の固形燃料化事業、建材用木質ボードの原材料供給事業、エネルギー事業の3事業を展開しています。特徴は収集運搬から再資源化、貯蔵及び運搬、そして販売までを一貫して行う体制にあります。廃木材再資源企業としての取扱量は年間120,000トンを超え、関東圏で流通している再資源化製品の15%程度のシェアを有しています。

―大学卒業後、全くの未経験から産業廃棄物収集事業を始めました。
最初はトラック1台で、新木場にある工場からの廃材収集でした。出身は押上(墨田区)です。父親は木材関連の仕事をしていました。産業廃棄物の収集運搬は、廃棄物の品目、廃棄物を排出する場所と中間処理工場の両方の地域を満たした許認可が必要になります。当時はモラルの低い業界でしたが、当初からコンプライアンスを最重要に考え、いち早く首都圏各地での収集運搬の許認可を取得しました。現在はゼネコン、ハウスメーカーをはじめ解体工事業者などを顧客とし、年間1,500件の契約を受託しております。

―千葉県の匝瑳市の八日市場工場にて廃木材資源化事業を行っています。
2005年に合板工場跡地を競売取得し、翌年に中間処理場許認可を取得、2007年には再生事業者登録を完了しました。中間処理工場では、建設現場や解体現場などで発生する廃木材をクラッシャーで砕き、磁選機で鉄くずを取り除き、粒度選別機でサイズを整えます。それを木質チップ専焼ボイラーの燃料やパーティクルボード製造の原材料として販売しています。再資源化の過程で発生する木粉は畜産農家へ敷き藁の代替品として販売しています。

―廃木材の再資源化事業から小型温水ボイラーの普及を目指すのはなぜですか。
木材チップボイラーは、原油に比べて低価格である点、また、環境負荷が低くサステナブルである点などが評価され広く普及し始めています。しかし大規模な設備投資と木材燃料チップの不安定性から、その恩恵は一部の大企業しかもたらされていません。当社は創業以来培ってきた木質系バイオマスの固形燃料化技術及び貯蔵搬送ノウハウを生かすと共に、平成22年より開発(東京都経営革新認定取得)してきた小型温水ボイラーを今後量産販売していきます。低価格・低環境負荷である木質燃料チップの恩恵を関東一円の施設栽培農家(作付面積10,447ha)に広め、最終的にはその5倍の全国農家(146,101戸、総作付面積49,565ha)まで拡げていきたいと考えています。

―木質チップによるコジェネレーションシステム「エコイズム」について教えて下さい。
「エコイズム」は中小規模の給湯・ボイラー施設向けのバイオマス・コジェネレーション・システムです。木質燃料チップは、当社エコグリーンが確保、物流までを安定して行い、灰も回収する真のサスティナブルシステムです。バイオマス温水器は関連会社バイオイノベーションで開発、パテント申請もしています。

―施設園芸農家で主流の重油ボイラーを代替できますか。
重油ボイラーは1基100?200万円ですが、燃料の重油代はキロ10万円と非常に高い。バイオマス温水器は1基500万円ですが、燃料の木質チップは重油の1/10以下の価格です。エネルギー効率を考慮しても燃料価格は半分以下になります。

―廃木材の安定確保や木質チップの安定供給体制が課題ですね。
当社の廃木材処理は業界トップクラスの年間120,000トン、そして木質チップを貯蔵できる真壁ストックヤードがあります。建設廃棄物は、今後も排出量増加の一途をたどることが予想されます。私が生まれ育った東京の下町は、木材再資源化企業から見れば森林と考えられるほど木材資源が豊富な都市です。東京下町の本格的な再開発に備え、自社の中間処理工場の他に、品川開発千葉リサイクルセンター(シナネングループ)、東関リサイクル八街工場、ジャパンウェイスト横浜事業所(アサヒホールディングスグループ)とネットワークを築いています。

―リサイクル環境事業の課題は何でしょうか。
人々や企業のリサイクルへの認識は日に日に増し、生活や経済の中でも様々な取り組みが行われています。しかし現在のリサイクル環境事業は一部の悪質業者のために関連法規が厳しくなり、年を追うごとに監督官庁からの要求事項が増し、間接費が増大化し経済的な負担が増えていく事実があります。私たちエコグリーンは、リサイクル環境事業のイメージを変える取り組みを繰り返し、悪貨は良貨を駆逐する業界慣習を打ち破り「環境と経済を両輪とする真の循環型社会(エコイズム)をの形成に寄与すること」を企業理念としています。

―株式上場を目指すのはなぜですか。
従業員がプライドを持てる会社にしたい、と思ったからです。もちろん、ゆくゆくは発電事業参入など事業拡大のための資金調達面でも上場は必要です。新東京グループ(東証プロ市場:6066)の吉野社長からもいろいろ教えていただき上場を準備しています。

―大学時代からアメフト選手として活躍していました。
旧オンワードオークス(現ノジマ相模原ライズ)に、当時は私を含め当社から4人の選手が所属していました。相模原市を拠点とするクラブチームとして再出発してからは私が代表を務め、清掃活動など地域に密着した活動も行っています。スポーツは文化です。スポーツのおかげで、やんちゃだった自分は一本筋が通りました。環境事業と同様にスポーツ支援活動を通じて社会貢献をしていきたいと思っています。

【会社IR】東京証券取引所 TOKYO PRO Market への株式上場のお知らせ(2013年10月31日)】
【特別対談】エコグリーン 代表取締役 石井 光暢×AGSコンサルティング小原靖明
【関連記事】 次世代循環型社会の構築を目指して(新東京グループ代表取締役社長 吉野 勝秀)

※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年6月号 - p4-5にてご覧いただけます