「FTとITの統合システムから「エステートプランニング」へ」
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株式会社キャピタル・アセット・プランニング
代表取締役 北山 雅一さん
1957年 大阪府生まれ
1975年 清風南海高校 卒業
1979年 慶応義塾大学商学部 卒業
1979年 中央監査法人(現・あずさ監査法人) 入所
1990年 当社設立、代表取締役社長 就任
【著書】ファイナンシャルプランナーのためのアセットアロケーション入門(1999年:編著)、ウェルス・マネジメント?FPのための資産最適運用の実践ガイド?(1999年:翻訳)、得する変額個人年金保険早わかり(2002年:著)
所在地:大阪府大阪市北区堂島2-4-27 新藤田ビル7F
設 立:1990年4月16日 資本金:153,240千円 年商:26億円(12/3期)
事業内容:金融機関向けフロントエンドシステムの構築
資産管理システムの使用許諾及び資産管理コンサルティング業務
http://www.cap-net.co.jp/
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* インタビュー全文公開いたしました(2013.4.26)―生命保険会社のフロントシステム開発のパイオニア
ライフプラン提案書、保険設計書・申込書を、タブレットPCやWebを通じて顧客に見せるための金融機関のフロントシステムを開発しています。1995年の生保損保の相互乗り入れ時から、日本で初めてのコンピュータ活用による生保販売のフロントシステム開発に取り組んでいます。日本の生保45社のうち18社が当社顧客です。競合先のNTTデータ、野村総研、富士通など基幹系情報システム会社がサーバーサイドで計算処理するのに対し、当社はAjaxを使ってクライアントサイドで処理するので、スピードと操作性が圧倒的に違います。
―FT(フィナンシャルテクノロジー)とITの統合が企業ミッション
当社には年金数理や保険数理が分かるプログラマーが多くいます。アクチュアリーレベルの能力があり、システム開発もできるという点が強みです。セキュリティ環境が高いレベルで要求される金融システムでは、端末サイドに顧客情報は残せません。コンプライアンスを維持しながら、付加価値のある提案をできるようフロントエンドで構築するという点がポイントです。最近の生保システム担当者は、大手SIer出身者が多く保険ビジネスを知りません。保険約款上のルールはすごく複雑で、金融庁のためのシステムか、保険販売員のためのシステムを作るのか、難しいところです。
―生保業界に新たな価値を提供するCRMシステム
保険システムは契約を50年保持するシステムで、お客様への新しい提案には向いていません。情報データは商品に紐付いているだけで契約者に紐付いているわけではありません。夫は医療保険に入っているが妻はどうかを調べることができない。対面販売員はどんどん減るので、これからは省力化しながら付加価値の高い提案をしなければならない。被保険者の情報を家族の情報に紐付けるCRM的システムを当社は構築しています。
―FP・プライベートバンカー・会計人のための統合資産管理システム「WMW」
WMW(Wealth-Management- Workstation)は、金融、不動産、保険、税務分野を包括した資産管理システムです。2年前から会計事務所向け中心にライセンス販売しています。保険会社の代理店である会計事務所に対してもASP提供しています。2012年はベビーブーマーの中小企業経営者が65歳になる年なので、事業承継や財産相続と絡めて総合資産管理が求められます。しかし個人の資産をどう保有するか設計(デザイン)する場所がありません。証券アナリスト協会では、来年からプライベートバンカーという資格を設けます。ファミリーのマネー戦略に関わるエージェントがこれからは必要です。
―事業承継・財産承継を戦略的に実践する「エステートプランニング」
ライフプランニングは、あなたがもし死んだらこれだけのCF(キャッシュフロー)が滞るから保険に入りましょうというフローの世界です。エステートプランニングは、今ある資産をいかに円滑に次の世代に移転させていくかというストックの話です。フロー重視かストック重視かは、個人の資産内容によって変わってきます。資産家を対象にするならばCFではなくB/Sアプローチであるべきです。例えば不動産に関しては、日本の所得税、相続税、法人税の方向性を考えれば、個人ではなく法人で間接保有した方が望ましい。日本は世界一資産運用が難しく、資産承継が難しい。東アジアで相続税がある国は3カ国しかない。シンガポールや香港はゼロです。きちんと戦略を立てていかないと、中小企業は東アジアで戦っていけない。ソニーとサムスンでは内部留保が全く異なります。日本経済を支えているのは中小企業経営者。彼らが会社売却へ駆け込むようでは、日本経済は右下がりになっていきます。
―会計士から起業する
私の家系は中小企業経営者でした。祖父も父も高額所得番付に入るほどでしたが、取引先破綻で連鎖倒産してしまいました。父の勧めもあり、会計士資格を取得、中央監査法人に入所しました。当時、エクセレントカンパニーと言われた山一證券、三和銀行、西武流通グループなどを担当しました。1991年に金融会計コンサルティング会社を設立し独立。たまたま「金融マンのためのロータス1・2・3」という書籍を日経で出版したらソニー生命から問合せがあり、それからソニー生命を皮切りにプルデンシャル、そして日系の生命保険のライフプランニング領域に携わるようになりました。1994年の生命保険営業の第一次革新時期から、日本の金融機関のフロントシステムのパイオニアとしての自負があります。
―インテリジェントインベスターのためのプラットフォームをめざして
平成14年9月期に初めて最終利益マイナスとなりました。金融機関がものすごく予算を絞った時期でした。中小企業が一度赤字を出すと銀行融資が停まります。創業以来20年間での最大の危機でした。金融機関向けの売上は3月に集中するので、資金バランスが非常に難しい業態です。独立系金融システムベンダーの生き残りは難しく、リーマンショック後は上場しているSIerも苦労しています。当社は生命保険や銀行、証券のセルサイドのシステム受託開発を20年間作り続けて年商26億円へと成長してきましたが、これからはバイサイドのシステムを作っていき、ビジネスモデルもライセンス型に変えてきます。インテリジェントインベスター、つまり中小企業経営者や個人投資家のためのシステムを提供していきます。
―事業成長戦略と事業承継戦略のためのIPO
中小企業経営者が考えなければならない戦略は、事業成長戦略、事業承継戦略、財産承継戦略の3つです。特に事業承継と財産承継の悩みは自分だけでなく、日本の多くの経営者の共通の悩みです。上場は資金調達ではなく人材調達のためと考えています。当社では「キャピタル・アセット・ユニバーシティ」という教育プログラムを通じて、保険数理・年金数理・FP・ライフプランニングを教えています。プログラマーのなかにはAFPやCFP資格を取った人間もいます。息子は社会人になったばかりです。同族内事業承継は簡単ではありません。中小企業経営者のために開発したWMWは自分のためでもあります。
Interviewed by The Independents 2012.9.10
【インタビュー】いま、何故クラウドファンディングが注目を浴びているか(出縄良人)
※全文は「THE INDEPENDENTS」2012年10月号 - p4-5にてご覧いただけます