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「東京インデペンデンツクラブ」

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「株式会社フェローテック
 ~『磁性流体』という素材から事業を立上げ売上600億円に至る成長の軌跡~」

福森 久美 氏(公認会計士福森久美事務所 代表)

―フェローテックの企業概要
フェローテック(JQS:6890)は、米国フェローフルイディクス社の日本法人(100%子会社)として設立された。代表取締役である山村章氏はノースイースタン大学大学院を卒業後、1979年に米国本社に入社、1980年2月に日本法人設立と同時に社長就任する。事業内容は、米国NASAで開発された磁性流体(液体状の磁石)を核に、現在は、(1)電子デバイス事業(9%)、(2)装置関連事業(41%)、(3)太陽電池関連事業(46%)を展開している。

―事業の沿革
1980年代は、磁性流体及びその応用製品である真空シールを半導体関連メーカー向けに販売。1990年代は、中国法人(杭州)にてサーモモジュール(半導体冷熱素子)を製造する等、アジア、欧米へと積極的に海外展開する。2000年代からは、シリコンウエハ加工の受託事業(CMS)や太陽電池関連事業(インゴット・結晶製造装置・坩堝)など、新たな収益基盤を確立する。

―ファイナンス戦略
1986年まではベンチャーキャピタル(JAFCO)中心に増資で18億円調達。1987年に米国親会社からのMBOに際し、クボタとJAFCOが28億円出資。1996年JASDAQ上場、公募増資で13億円調達。1999年には32億円を公募増資、米国フェローフルイディクス社をTOBにて買収する(元親会社を子会社化)。2002年には第三者割当増資(三井物産、小松製作所)で40億円調達。上場から現在まで、資本市場を通じて221億円資金調達し、事業拡大・飛躍を支える。

―フェローテック経営からのヒント
最後に、本日の話のエッセンスを紹介し、皆様の経営の参考になれば嬉しく思います。
・磁性流体から半導体、そして太陽電池へと、事業の成長戦略は関連分野への面展開で行い、生産は中国、販売は欧米と世界的視野で経営する。
・中国留学生であった賀賢漢氏は、現在代表取締役副社長として中国拠点を任されている。事業の素材、人材の萌芽に気づく経営センスを大切にし、寛大な心を持って経営を託せる人材を登用する。
・新規事業や設備投資にはリスクを伴うが、勇気を持って挑戦する。
・そして常に明るく、夢を持って経営する。