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「金融業界における差別化戦略」

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アニコム損害保険株式会社
代表取締役社長 小森 伸昭さん

昭和44年5月 兵庫県神戸市生まれ。平成04年3月 京都大学卒業。平成04年4月 東京海上日動火災保険株式会 社 入社。平成12年4月 anicom(動物健康促進クラブ)理事長。平成12年7月 アニコムホールディングス株 式会社 代表取締役社長(現任)。平成18年1月 アニコム損害保険株式会社 代表取締役社長(現任) 。

住所:東京都新宿区下落合1-5-22 アリミノビル2F
TEL:03-5348-3777 設立:2006年1月26日 資本金:43億5,000万円
http://www.anicom-sompo.co.jp/

2000年に無認可共済としてスタートした「どうぶつ健保」。
2008年には損害保険業免許を取得。「ani(命)+communication(相互理解)=∞(無限大)」を企業活動の根源にすえるアニコムグループ小森社長にお話を伺いました。

当社に対する学生の見方が変化
小森:以前はペット好きな学生の応募が大半でしたが、今年は「新しい保険会社をつくる」ということに魅力を感じる学生が増えてきました。既存の金融機関は維持・発展させることは出来ても、一からデザインすることはなかなかできません。

―プロダクトアウト型からマーケットアウト型保険へ
小森:保険商品に限らず、20世紀以前は良い物を作れば売れる時代でした。しかし、今は良い商品やサービスを作るのはプロである以上当たり前です。良い物を作っても、良いコミュニケーションをとってきちんと説明しなければ売れません。当社はお客様とのコミュニケーションを通じて、お客様が望んでいるものを提供する、マーケットアウト型の新しい保険会社としての可能性を追求していますし、そういう保険ビジネスが成り立つのかどうかを試してみたいと思います。

―規模が問われる保険業界で個人創業
小森:保険会社というのは資本集約的な商売で、立ち上げには多額の資本金が必要になります。当社は世界的に見ても最小規模の保険会社です。保険業界で個人が筆頭株主というのも私だけではないでしょうか。普通は規模の大小を問わず、保険会社の主要株主は機関投資家です。また、保険業は最低50億円ほどの資本金がなければ成り立たない分野です。立ち上げたとしても、いきなり規模を問われるのです。そういう意味で、個人で創業したのは大誤算でした。

―人もペットも保険の仕組みは同じ
小森:前職で経済企画庁に出向し、健康保険制度の問題点を調査していました。その時、人の健康保険が疲弊していると強く感じたことが起業のきっかけでした。未成熟だったペット市場でならその改善策を実現できるのではないかと考えました。保険は自動車でも火災でも対象物に事故があれば保険金を払う仕組みは同じです。私自身もペットが大好きでしたし、ペット保険で人の健康保険の改善に有効な方法を実証したいという想いがありました。

―金融業以外の周辺分野で事業展開
小森:当社はペット保険単一業ではなく、親会社である保険持株会社を通じたグループ全体で収益を上げる仕組みを構築していきます。例えば、鉄道会社が運賃を低減することができたのは、キヨスクや沿線の住宅や遊園地などグループ全体で収益を上げる構造にシフトしたからです。保険も、流通経費を削減すれば保険料を下げる事はできると思います。しかし、それだけでは社員が幸せにはなれません。証券や銀行も手数料低減をどんどん実行していますが、それだけでその先を描くのは難しいと思います。私たちは保険業というインフラ事業以外でも収益を得る構造を作りたいと考えています。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2009年4月号にてご覧いただけます