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「システム開発会社の成長戦略」

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吉積情報株式会社
代表取締役 吉積 礼敏さん

1967年7月徳島県生まれ。95年3月愛光学園高等学校 卒業。99年3月東京大学工業学部 卒業。99年6月アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア) 入社。2004年9月同社マネージャー 就任。05年7月同社 退職。05年9月吉積情報株式会社 設立、代表取締役 就任。

住所:東京都中央区銀座2-14-7 銀座OMビル 2F
TEL:03-6228-4451 設立:2005年9月6日 資本金:1,000千円
http://www.yoshidumi.com/

―ダイブネット買収の決断
吉積:以前から自社のWebサービス事業としてダイビングに特化したSNS「うみもぐら」を運営していました。2008年11月にはダイビング総合情報サイト「 DIVENET 」を運営するダイブネット社を子会社化しました。元々システムコンサルティング事業で実績をこつこつ積み上げてきた弊社です。当初は買収などするなど全く考えていませんでした。「 DIVE NET 」はダイビングツアーやダイビンググッズなど、ダイビングに関するあらゆる情報を集めた総合情報サイトです。初心者にはもちろん、プロカメラマンに対しても珍しい海外ツアーや水中写真撮影についての情報が集まるサイトです。いつか「うみもぐら」が到達すべき地点だとは認識していました。それが突然目の前に見えたのです。決して無駄な投資にはならないだろう思い、買収を決断しました。

―買収のリスクと効果
吉積:買収は初めての経験ですし、銀行借り入れも始めて実行、大きな決断ではありました。しかしスピードは大切にしました。時間が経つとサイトの価値はどんどん下がってしまうのです。だからこそスピードが重要でした。買収の一番の成果はダイブネット社の大野氏が入社、営業に大きな貢献をしてくれたことです。買収調査に十分な時間もなく予想外の費用もかかりましたが今年の夏には黒字化できる見込みです。アクセス分析、広告主へのフォローなど、従来の不足面や運営を我々の手で進めていきたいと思っています。また、今後はダイビング保険についても乗り出したいと考えています。「 DIVE NET 」の知名度を活かした形でユーザに安心感を与えられればと思います。そのために他社との協業など含めて新たな方策を模索中です。今年は水中撮影に欠かせないカメラを多く抱える大手光学機器メーカーからのサイトへの広告出稿もスタートし、「 DIVE NET 」にかなりの伸びが期待される年になります。

―システムコンサルティングを軸に事業を展開
吉積:現在弊社では web サービス事業を含む4つの事業を展開しています。1つ目はシステムコンサルティング事業です。主に私の前職アクセンチュア時代のつながりから大規模なシステム開発を受注しており、基幹系のシステム開発が多くなっています。2つ目は中小企業のシステム運用のアウトソース事業です。小規模でシステム担当者を専任で担当できないような企業さんにも高品質のものを安く提供するというのが目的です。3つ目はツール開発事業です。システムコンサルの中で要望のあるツールや機能を受託開発したりパッケージとして販売しています。4つ目はwebサービス事業です。「うみもぐら」や「 DIVENET 」はこのカテゴリに入ります。今後も年に2?3個のwebサービスを立ち上げていく予定で、現在いくつかのサービスがリリースに向けて動いています。

―Google AppsのGoogle Enterprise Partner(GEP)に認定
吉積:弊社は2008年10月に Google Enterprise Partner(GEP)に認定され、法人向けソリューションとして google 製品を組み込み納入しています。 弊社にとってはシステムコンサル事業と web サービス事業の中間のような事業と捉えています。最近では?東急ハンズ様に納入しました。シングルサインオン(*)部分の開発でしたが2,000人のユーザー(社員)の連絡先をgoogleに登録したのは世界でも稀なのではないでしょうか。それまでメールやスケジュール共有などに、それぞれ異なるシステムやASPを使うと情報共有・コミュニケーションには問題があり、Google Apps Premier Edition(*)の導入を検討されたようです。お客様はアクティブディレクトリー(*)上で情報を変更するだけでサーバ上の全てのデータが自動的に変更できる仕組みです。
*シングルサインオン:ユーザが一度認証を受けるだけで、許可されているすべての機能を利用できるようになるシステム
*Google Apps Premier Edition:GmailやGoogleカレンダーなどの 社内情報管理やコミュニケーションのための企業向けアプリケーション・サービス
*アクティブディレクトリー:Windowsサーバ製品群 に搭載されているディレクトリサービス。ネットワーク上に存在するサーバ、クライアント、プリンタなどのハードウェア資源や、それらを使用するユーザの属性、アクセス権などの情報を一元管理することができる。

―Google製品と企業をつなげる開発を
吉積:金額的にはコンペ他社より高額だったようですが、それでも弊社のシステムが選ばれました。それでもやはりgoogle製品を使うことで低価格になりますし、容量やバックアップの点、特に災害対策面を考えると圧倒的にメリットが大きいと考えます。従来は各社ごとにカスタマイズして開発した方が安かったのですがグーグルの登場で大きく変わりましたね。社員1人あたり年間6,000円程度で開発可能です。一方でデメリットは責任の所在が曖昧なことです。クラウドコンピューティング(*)を利用したシステムなため、トラブル発生時に“どの部分で何が起こっているのか”というのが瞬時に分かりづらい状況となります。
*インターネット上にグローバルに拡散したコンピューティングリソースを使って、ユーザーに情報サービスやアプリケーションサービスを提供するという、コンピュータ構成・利用に関するコンセプトのこと

―セキュリティレベルの高い自社製品
吉積:また現在、シングルサインオンの仕組みを新たに開発しています。セキュリティレベルを上げてサインオンできる仕組みです。ダウンロード型で販売する予定で、他社では導入費込みで100万程度の製品と同等の機能を、弊社では10分の1程度で販売します。googleではメールアドレスが分かればパスワードを知ればけ誰でもログオンできてしまいますが、弊社ではシングルサインオンの仕組みを付加し、他者への漏洩に対してより堅牢性を高めています。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2009年5月号にてご覧いただけます