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「東京インデペンデンツクラブ」

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講演レポート 「IPOで見てきたもの」
弁護士法人クレア法律事務所 弁護士 公認会計士 菅沼 匠 氏

[講師略歴]
2002年会計士二次試験合格、監査法人トーマツ入所(株式公開を専門とする部署に配属)。2004年ジャスダック証券取引所上場審査部出向(取引所の上場審査や規則改定等に関与)。2006年クックパッド株式会社入社(マザーズ上場・東証1部への市場変更に関与)。2011年司法試験合格、司法研修所に入所。2012年弁護士法人クレア法律事務所入所。


―監査法人(2002-2004年 トーマツ)から見たIPO
上場会社と非上場会社では、内部統制の仕組みが全く異なり、その整備が一番大変でした。また、税務会計から企業会計へ移行する作業も骨が折れます。投資家に説明できる財務諸表を作成するため、経済的実態に則した会計基準を適用したり、連結財務諸表やCF計算書などこれまで作成する必要のなかったものを揃えたり、上場するということはすごく大変なことだと学びました。

―証券取引所(2004-2006年 ジャスダック)から見たIPO
取引所で強く感じたのは、「時代を象徴する企業が集まってくる」という事でした。「web2.0」というkeyワードが流行っていた頃は「mixi」などウェブサービス会社が、また、派遣法が緩和された際には、それによって収益力を高めた派遣会社による上場申請が集まっていました。何より私の人生に影響を与えたのは、無事上場を果たした企業の方々の眩しいばかりの笑顔です。鐘を鳴らす経営者の顔は忘れることができません。こういった光景を見て、私もこうありたい、上場を目指す企業で喜びを分かち合いたいと強く感じたことが、その後事業会社に転職する契機となりました。

―事業会社(2006-2011年 クックパッド)から見たIPO
上場準備で一番大変だったのはやはり社長だったと思います。これまで接することのなかった監査法人や証券取引所の担当者とのやり取りには、それを把握し意思決定できるだけの前提知識が必要になります。そういったことを学習しながら、同時に本業と上場準備の意思決定をおこなっていくことは並大抵のことではありません。CFOも社内外の調整で戦わなければなりません。IPO担当者も資料作成のために、土日も出社して対応していました。営業担当者も予算達成のプレッシャーと与信管理のジレンマで間接業務が多々発生します。結局皆大変なのです。組織全体でIPOに向かって団結できるかが重要だと強く思います。

(1)事業会社の立場から、上場審査で気をつけること
対証券会社においては、担当者も一報告者であることを理解し、なるべく言われたことは素直に受け入れて予定通り資料提出することを目指しましょう。必要ならば証券会社の上長の方との面談の機会を設けて望ましいIPOの姿を摺り合わせし、お互い気持ちよく審査作業を進めていくことが肝要です。対取引所においては現場担当者とのこじれがスケジュールに直結するためなるべく誠実に対応し、場合によっては証券会社の方を味方にして一緒に説明してもらうことも有効です。

(2)クックパッド上場で得られたもの、変わったもの
ストックオプションによる金銭的恩恵も多少はありましたが、上場社数が激減している時代に、実際にIPOを達成できた経験が何より大きいと感じています。本則市場への市場変更対応においても、事務処理能力が高まったことを実感しました。また、かけがえのない仲間とも出会えました。上場前には料理好きの女性ばかりでしたが、上場後は社会からの注目も浴び高学歴な方からの応募が増え、人員構成は変わりました。資金は潤沢になった一方で株主からスピード感を求められるようになり、成長のための投資も積極的に取り組むようになりました。

―法律事務所でもIPO
IPOを目指す人は向上心が高く、刺激をたくさん受けることができます。今後もIPOに携わっていきたいと、ベンチャー企業のサポートに力を入れているクレア法律事務所の門を叩きました。今後はリーガル面でも皆様のお役に立てたらと思います。