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「浜松インデペンデンツクラブ」

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9月13日(木)アクトシティ浜松にて、浜松インデペンデンツクラブを開催いたしました。浜松地域の中小ベンチャー企業支援関係者をお招きしおこなった、パネルディスカッション「浜松地域のイノベーション推進」の特別レポートをご紹介します。

<パネリスト>
鈴木 俊充 氏(静岡大学イノベーション社会連携推進機構 特任准教授)
津倉 昭彦 氏(浜松信用金庫 法人営業部 副部長)
立石 哲康 氏(浜松商工会議所 工業振興課 課長)
法貴 礼子 氏(株式会社チェンジマスターズ 代表取締役)


―商工会議所の支援体制は
立石:三遠南信クラスター推進会議(浜松商工会議所、公益財団法人南信州・飯田産業センター、豊橋商工会議所、?サイエンス・クリエイト)において、地域内における新たな産業集積と基幹産業化を達成するために、ビジネスマッチングや専門展への出展など、様々な企業支援を行なっている。また、広域の取組みだけでなく、「浜松地域新産業創出会議」を通じて、各種支援機関と連携しながら、浜松企業へのきめ細やかなサポートにも取り組んでいる。

―静岡大学の取り組みは
鈴木:これまで別々であった「産学連携機能」「地域連携機能」「研究支援機能」をワンストップで支援する機関として、平成24年4月より組織再編をおこない、イノベーション社会連携推進機構として活動を行なっている。大学は「教育機関」であり「研究機関」であるが、「支援機関」でもありたいという信念を持ちながら、大学発ベンチャーの支援をはじめ、企業との共同研究や技術移転の推進に取り組んでいる。

―浜松信用金庫の企業支援の特徴は
津倉:「事業承継・M&A」、「各種助成金支援」などが充実している。特に、「海外販路支援」においては、この地域に国際競争力のある企業も多いため、海外サポートデスクに7名のスタッフを有するなど、全国の信用金庫と比較しても非常に手厚いサポートになっている。

―チェンジマスターズの経営支援は
法貴:中堅中小ベンチャー企業のPDCAサポートをおこなっている。特にPlanの部分である経営計画立案サポートにも力を入れている。7年間で180社以上の立案サポート実績があり、92%以上の導入会社において業務改善が実現できている。浜松の技術を基盤とする企業に、経営計画の重要性を知っていただけたら幸いである。

―浜松地域における事業環境は
立石:浜松地域の中小企業は、製品出荷額20,145億円(平成22年)の過半数を占める輸送機器の下請けとして、コストや品質にのみ気を払えば事業が成り立ってきた。それがリーマンショック以降、このままではいけないと、独自技術で以って自社製品開発を進めようという意識も芽生え始めてきている。

―有望なテーマは何か
津倉:ひとつは医療産業。浜松医科大学や静岡大学をはじめとする医工連携プロジェクトに想定以上の企業が参画している。また、光産業においては、文部科学省・経済産業省・農林水産省の施策である「地域イノベーション戦略推進地域」のひとつに、「浜松・東三河地域ライフフォトニクスイノベーション」が平成22年8月に選定されるなど、新たな動きを見せている。
立石:浜松地域はものづくりを基盤としながらも、時代に合わせて変化を遂げてきている。重点産業はあって然るべきだが、柔軟に新たな分野へのチャレンジもしていただきたい。

―大学発ベンチャーの状況は
鈴木:静岡大学発ベンチャーとして認定されているのは17社あるが、大学教授は研究成果の事業化に積極的とはいえない。ただ、既存企業が、第二創業のステップとして大学発技術を活用するというのは可能性がある。金融機関とも連携しながら、多くの方に大学の技術について知ってもらい、技術相談や共同研究の件数を増やしていきたい。

―技術系企業の成長に必要なものは何か
法貴:浜松地域の企業は素晴らしい技術をお持ちの会社ばかりではあるが、資金面・営業面のマネジメントにまだまだ課題がある。経営者自身がCTOからCEOに意識して脱皮することが急務ではないか。
津倉:経営者の財務スキルも重要ではあるが、東北地域の復興に資金が集中していることもあり、資金調達するにも厳しい時代。当行も、資金面だけでなく、人的・制度的支援を引き続き行なっていきたい。

―浜松地域のイノベーションに必要なことは
鈴木:浜松地域は「起業・創業の街」として、織物からはじまり、現代の輸送機器産業に至るまで、自発的に産業が立ち上がってきた歴史がある。特定産業を対象に企業育成するのではなく、自発的な創業を促進する環境整備が必要。それぞれの企業が独自の考え方で技術トレンドを見極める、支援機関は活用しやすいよう敷居を下げておく、そういったことが産業振興につながっていくと考えている。

[質疑応答]人材の採用と育成についてアドバイスをいただきたい
津倉:地元の高校生や大学生は、思っている以上に地元企業のことを知らない。当行としては、ビジネスフェアに高校生100名を招待するなど、このギャップを埋める取り組みも手がけている。

鈴木:インターンシップも有効。学生支援センターを通じて斡旋している。学生側・企業側の問題もあるが、大学の教職員や高校の先生方も、もっと地元企業について知ってもらいたい。

観客:静岡大学よりインターンを引き受け、学生側・企業側にとって相互理解が深まる非常に良い制度と感じている。当社も年間200万円ほど採用に投資をし、苦労してきた。最近では、Uターン人材がサイトの求人情報を見て応募してくれるケースもある。

法貴:当社では、静岡に縁もゆかりもない学生を採用することができた。「実務を通じて経営が学べる」ことが学生から見た当社の魅力だと考え、将来社長になりたい学生をターゲットに採用活動をおこなった。ミスマッチがないよう、営業同行など業務経験の場を設けて、当社について知ってもらう工夫も行った。

―本日はありがとうございました