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「エコロジーとエコノミー戦略」

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株式会社Eco
代表取締役 安井 重樹さん

1955年生まれ。同志社大学工学部卒業後、兼松江商株式会社(現・兼松株式会社)入社。2003年当社設立、代表取締役就任。

住所:京都市下京区中堂寺栗田町93番地
TEL:0774-44-2211 設立:2003年4月17日 資本金:40,000千円
http://www.ecocorp.co.jp/

―「エコロジーとエコノミー」すべては環境と人のために
これを合言葉に2002年に京都から事業をスタートさせて今日、環境に仇する工程を取り除いた設備に、従来以上の製造機能と省エネ効果を得た「超音波漏れ検査システム」「近赤外線乾燥システム」の具現化に成功いたしました。

―自然界のエネルギー応用技術
当社のコア技術は近赤外線(NIR)、超音波(USIS)などの自然界にあるエネルギーの応用です。この地球上に存在する太陽光、海川にある水、特殊な音域を使ってコミュニケーションをとる動物の耳など自然界には多くのヒントが隠れています。これら自然界の光、音、水から、技術を創造し機械装置のエンジニアリングを行っています。

―光の特性を用いた加熱技術
近赤外線波長(0.75?1.2μm)の振動エネルギーを用い、火炎レスの温風加熱ができます。この高速で高効率な加熱技術を応用して「近赤外線照射式熱源ユニット」を開発しました。従来のガスバーナーによる燃焼乾燥に代わり、エアコン製造過程における熱交換器の乾燥を効率良く行う装置です。さらに900℃の高温加熱による銅ろう材の溶接接合システムも製品化しています。炎を使わない(Co2を出さない)加熱装置、溶接装置です。

―音の特性を用いた漏れ検知技術
高周波音波(40khz)を発生させて、微細欠陥のリーク(漏れ)を検出する技術です。空気を入れて欠陥があると高い周波数の音は外に放出されます。それを受信センサーで測り検出時間の短縮と精度を高めています。超音波検知による高品質保証実現で、従来の特殊ガス使用による検査に代わる「貯湯タンク用超音波漏れ検査装置」などを製品化しています。

―水の特性を用いた連続高速プレス加工技術
水の冷却特性と洗浄特性を効率仕様する加工技術により、100%水での高速プレスによる*フィン加工を実現しました。潤滑油を使用しない環境と人にやさしいものづくり技術です。
*フィン=エアコン用ヒートシンク

―環境保護型の熱交換器生産システム「e-BOX」
主力製品である「e-BOX」はエアコン室内機用の中核部品である熱交換機の生産ラインシステムです。フィン水加工プレス、サーボ拡管、NIR乾燥、NIRろう付け、超音波洩れ検査で構成される「e-BOX」は、シンプルな構造の非常にクリーンで環境にやさしい生産ラインです。従来のライン長50mに対して「e-BOX」は6mという短く、生産面積で80%、ランニングコストで90%も削減できます。世界にはエアコン製造ラインが1000から1500あり、年30ライン増え続けています。昨年第1号機を大手家電メーカーに納入し、今期からは「e-BOX」を中心に販売していきます。



―全世界で成長しているエアコン市場
ルームエアコンの世界市場は1億台と、温暖化と経済発展で東南アジアを中心に拡大成長中です。中国のエアコンメーカーが全世界の市場シェア7割を占め、アメリカなどにも積極的海外進出をしています。日本は7社(松下、日立、東芝、三菱、富士通ゼネラル、ダイキン、シャープ)で1000万台の生産量です。当社は日系7社と韓国LGに納入しています。

―エアコンの中核部品となる熱交換機
エアコンは、コンプレッサー、熱交換機、ファン、電装(制御)から成ります。コンプレッサーは汎用部品であり外部調達できますが、熱交換機はコア部品として大手エアコンメーカーは内製化しています。当社の熱交換機生産に乾燥装置はアジアで40基稼動中です。

―業界トップへの販売実績
2006年に松下電器産業の中国工場へ赤外線を使った乾燥装置システムを導入できました。ベンチャーが大企業から新しい技術を認められるのは大変ですが、生産機械販売のトップである兼松KGKや、松下電器産業の後輩から前職での実績が信頼されました。業界で技術トップである松下電器産業への納入を機に、上海シャープなど他のエアコンメーカーへの受注に成功しました。

―生産技術と製品技術の両方を知る
お客様は良いエアコンを作るための手法として熱交換機製造技術を買います。小型で熱交換率の高いエアコンを作るためには、アルミ薄板枚数は少なく、配管は銅からアルミへと変える必要があります。当社はルームエアコンという最終完成品を知っています。社員12名のうち、大手メーカー出身の技術者が7名います。当社の課題は、開発資金と人材の確保ですが、日本国内だけを考えると人材は豊富にいます。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2012年1月号 - p24-26にてご覧いただけます