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「第83回 事業計画発表会レポート」

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この事業計画発表会は、14年間新宿で運営されてきました。この第83回を機に、アクセスの良い東京21cクラブに場所を変えて開催されることになりました。引き続き、最後の講評・総括を引き受けさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします。

さて震災後、電力供給が不安定になる中、大手企業は海外シフトを加速させています。自動車や電機、特に電子部品業界でこの動きが顕著です。しかし、これでは日本に利益も配当も落ちないため再投資ができません。国内を拠点とする企業が生まれてこなくては、日本は財政を維持することができなくなってしまいます。

証券市場においては、東証と大証の統合問題が議論されています。20年後には中国がGDPで米国を抜き、世界の証券市場をリードしていくのは間違いありません。日本の証券市場はグローバル化する一方で、今まさに、国内ベンチャー市場を活発化することが求められています。その一環として、新興市場の改革が進められています。マザーズやJASDAQグロースは上場審査において「事業計画の合理性」を重視するようです。IPOを目指す企業にとって、高い透明性と公平性のある情報をタイムリーに出すための鍛錬の場として、この事業計画発表会の存在意義が高まってきたと考えます。

今回各社の発表をお聞きし、東日本大震災と直接的・間接的に影響をうけた事業になっていると感じました。以下、簡単ではありますが、コメントさせていただきます。

ブルックマンテクノロジ
大学発ベンチャーがなかなか成功できない理由は2つあると思います。1つは大学教授にとって、技術を事業化することがステイタスにならない点です。彼らにとってのロマンは、世界の学会で評価される論文を提出することなのです。幸い川人会長はまだ若く、教授としての広がりを持つ可能性を残しているので期待しています。2つ目に民生化の問題です。CMOS技術は衛星で使われることが多いのですが、これでは量が出ずスケールできません。また、民生用製品は回収条件が悪く、資金ショートを起しやすい領域です。VCや銀行が資金を出さない中、どのように資金調達するかが重要になります。

―日本ハイブリッドパワー
シンガポール南洋工科大学への学術試験用装置導入は、技術レベルは評価されたからなのでしょう。この分野は国内で多種多様な競合会社が存在するため、海外での事業展開も考慮するのも是でしょう。一方、開発したエネルギーをどう配電していくかの問題があります。配電網を持つ既存電力会社は、他社の売電事業に非協力的です。バイオマス発電に挑戦している企業は地方自治体と組んでプラント建設費用を捻出していますが、地方行政は非常に疲弊しています。エネルギー分野に参入していくよりも、ごみ処理を極めていった方が成功確率は高いかもしれません。

グリーン・シップ
CTIシステムの開発・販売から、同システムを使った成果報酬型サービスへの展開は面白く感じました。ただ、アイディア型企業は他社に真似されるリスクも抱えています。また、中心となっている太陽光パネル販売は、設置工事の影響で雨漏りのクレームが多発しています。消費者からどういうクレームがあるのかきちんと認識する必要があるでしょう。そこをきちんと抑え、日々進化させること、そのスピードを緩めないための方法論をどうやって組織に組み込むかが、外から見えない参入障壁になります。

ドンドンアップ
フランチャイズビジネスは、加盟店をどう管理していくかがキーになります。メガフランチャイジーが造反を起こさない保証はありません。セブンイレブンは儲かっている店に必ず競合店をぶつけ、造反を防ぐことに成功しました。最近では、フランチャイジーとして3?5つの事業を手掛ける会社も出てきました。彼らはどのFCが儲かる仕組みになっているか研究し、見極めています。是非そういう人たちに選ばれるフランチャイザーになってもらいたいですね。


※次回開催は9月下旬を予定しております。
※事業計画発表会での発表を希望される方は、こちらからお問い合わせ下さい。