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「新規上場ブームとトレンド」

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株式会社インディペンデンツ
代表取締役 國本 行彦 氏

1960年東京都豊島区出身。84年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。2006年インディペンデンツ設立、代表取締役就任。

2013年の新規上場会社数は58社で、昨年48社(東京プロ市場含む)より10社増えました。

2000年代の株式上場ブーム時代の年間200社を超える勢いはありませんが、中長期的には増加トレンドにあります。

主幹事の首位は、野村證券の26社で昨年12社より大幅に増えています。次いで同率6社で、大和証券、SBI証券、みずほ証券となり、SMBC日興証券は5社と昨年2社より増えました。一方で、主幹事会社数は全部で9社と、昨年10社より減っています。

監査法人では、トーマツが首位で26社(昨年18社)とこちらも増加しています。次いであずさ13社、新日本9社となり、監査法人総数では11法人と、昨年より3法人減っています。ただ京都監査法人や優成監査法人など、昨年ゼロから今年担当会社が上場した監査法人もあります。

株式市場別では、東証(マザーズ、JASDAQ、東証1部・2部、東京プロ市場)が圧倒的ですが、東証一部が6社と大型IPOが増える一方で、東京プロ市場が4社と小規模企業にも上場の道が開かれています。

都道府県別の本社所在地では、東京が32社、次いで大阪6社と、全国17県で上場会社が生まれました。東京一極集中傾向を反映してもいますが、全国の都道府県にも株式上場が広がっています。

ベンチャーキャピタル(VC)動向を見ると、上場直前に株式移動で取得するアービトラージ的投資が増えています。一方で、オルトプラス(3672)など、VCファンドが筆頭株主のケースが8社あり、事業プロデュース的投資も増えています。

新規上場が持続的に発展するためには、上場関係者の裾野を広げ、多様化を進めながら変化していく事も重要です。

【連載53】ベンチャーファイナンスの新たなうねり(國本行彦)

※「THE INDEPENDENTS」2013年12月号 - p3より