アイキャッチ

「事業計画発表会、次なる100回目を目指して」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。72年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。73年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。86年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。

世界の経済的競争条件が大きく変化してきた2010年代に入り、はや2年が経過しました。日本は20世紀型の経済運営から、21世紀型の豊かな日本の役割を模索する時代に入りました。拠点としての本籍を日本に置きつつも、世界に貢献できる企業が、現住所を中国+α地域に求め、製造・販売のみならず、開発拠点までも移してきました。

国内の空洞化が進む現在の兆候を予見し、日本国内の経営資源を活用して、儲かる収益モデルを構築することを、ベンチャー象限で実行することの必要性を痛感して、「IPOを目指すベンチャー企業の支援」を目的に「事業計画発表会」をスタートしたのが、1997年です。杉田純氏が代表を務める三優監査法人グループのエスビーシーインベストメント(株)の元でスタートしました。その後、辻・本郷税理士法人を経て、2010年より、國本行彦社長の(株)インディペンデンツに引き継がれてきました。この間、停滞が続く日本経済の中で、「日本の将来の経済活力を担い、リスクに挑戦する起業家」と彼らを真剣に支援したいと思うプロの方々が集まり、2013年1月で16年:100回目(東京開催のみで換算)を迎えます。この16年間、松田は、総括講評をさせていただきながら、多くの環境変化にもかかわらず、高い志に挑戦し続ける起業家の方々から、明るい日への喜びを学ばせていただきました。

2000年当時のネットバブル時代、年間IPO数が200社前後の時期を経て、2008年27社にまで低下しました。東証マザーズ、大証ヘラクレス、さらに地域市場での新興市場の開設を経て、現在市場統廃合が始まっています。2011年の東日本大震災とその後の放射能問題が発生した危機をチャンスに、21世紀の日本の新たな価値をスピーディーに実現するには、次の3点が必要です。

(1)技術を活かした高収益モデルの構築
研究開発後の事業スタート期には、日本が世界トップという多くの技術を生み出してきました。しかし、世界市場が拡大する産業化過程で振るい落されています。顧客基点に立ったスピード経営の実現を、徹底したリスクに挑戦する起業家に期待しよう!

(2)ストックを流動化した参画型社会づくり
個人の金融資産が1500兆円あります。このストックを、個々人の意思で流動化させ将来への投資に換えるために、東京プロマーケットや、エンジェル税制、グリーンシート市場等新興市場、さらにクラウドファイナンスという国民による参加型社会を実現しよう!

(3)本籍日本・現住所海外のエコシステム構築
人口ボーナスが1991年に過ぎた日本ですが、まだ多くの経営資源「地の利、人の利、時の利、技の利」を持っています。日本でパイロットテストを行い、当該モデルを成長新興国で実現し、配当を日本へ還流させ、雇用と納税を確保するエコシステムを構築しよう!

高い志を持って、計算しつくしたリスクに果敢に挑戦し、チームで達成した感動を共有し、社会に貢献する社会風土を、超高齢化社会国家日本に実現しようではありませんか!!


―事業計画発表会100回記念イベントのご案内
2013年1月15日(火)新丸ビルコンファレンススクエアにて、事業計画発表会の第100回開催を記念したイベントをおこないます。当日は2012年度インデペンデンツクラブ大賞表彰式のほか、松田修一氏がモデレータを務めるパネルディスカッションも予定しております。

【講演レポート】事業計画発表100回記念パネルディスカッション(2013.1.15)
【講演レポート】東京プロ市場からのステップアップ上場(フィリップ証券 脇本 源一)
【講演レポート】日本のイノベーション(2011.11.8.静岡インデペンデンツクラブより)

※「THE INDEPENDENTS」2013年1月号 - p6より