「化ける人」

イノベーション・プラットフォームとして、大学の役割が増しています。
海外に工場移転していく時代には、労働集約的産業ではなく知識集約型産業が求められます。
社会人経験者や海外留学生など、さまざまな人材が大学には集まります。
大学は知識を教える場から、知識を開発していく場に変わってきました。

イノベーションを起こすには起業家精神が必要です。
大学発ベンチャー企業の経営者の多くは大学関係者が就任します。
ベンチャー企業の経営者に第一に必要な事は起業家精神です。
大学で学ぶ経営スキルだけでは、前例のない道を進むベンチャー企業は成功できません。

イノベーションはある日突然に生まれる訳ではありません。
思考錯誤の期間が必要です。
一夜で成功するベンチャー企業はありません。
しかし限られた時間で勝負するベンチャー企業は、経営者の意識次第で大きく変わります。

自分自身のリスクで資金調達をする時、経営者は化けます。
個人保証で借入したり外部投資家から出資を受ければ、経営責任から逃げる事はできません。
資本と経営が一体であるオーナー型ベンチャー企業は、経営責任の所在は明確です。
起業家が経営者に化けられるかどうかが、ベンチャー企業成功の分岐点になります。

※「THE INDEPENDENTS」2012年10月号 - p2より