「産業のソフト化がもたらす雇用の変化」
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今年は50社を超えると見みられていたIPOが、前半で18社と伸び悩んでいます。3月まで上昇基調にあった株価が4月に入ると下降線をたどりはじめました。このため、IPOも公開価格が低く設定されるケースが多くなり、加えて欧州金融危機による円高が企業業績にも悪影響を与え、結果として思ったよりも低調となったのでしょう。後半を期待しています。さて、近年のIPOは製造業が少なくなり、代わって、いわゆるITに係る情報系あるいは小売り・飲食をはじめ介護などいわゆるサービス系の企業が多くなっています。製造業ほどのノウハウも必要でなく、比較的小資本での起業が容易であり、日本全体が消費主体の経済社会となっていることを考慮するとやむを得ないことと思います。
ところで、内閣府の「平成24年版子ども・若者白書」によると、平成23年3月の大学卒業者の就職率は61.6%となっており、産業別就職状況は第二次産業が17.7%、第三次産業が80.4%となっています。10年前の平成13年3月のそれは73.9%であり、第三次産業へのシフトが確実に進んでいる様子が分かります。
一方で、大卒者の新規学卒就職者の就職後3年間の離職率は、33%前後に達しており、苦労して就職しても、わずか3年で1/3が退職していることになります。内訳は1年目で12%前後、2年目で10%程度、3年目が10%あまりとなっています。高校生の離職率は40?50%にも達します。離職の理由としては、賃金が安いから、つまらないから、管理職も苦労しているから、転職市場ができたからなどが挙げられますが、就職したものの理想と現実とのギャップに耐えきれず、これから逃れるために安易な方法を選択したということかもしれません。したがって、新規採用も3年もすれば 1/3は退社することを前提に行わなければならなりません。毎年多くの新入社員を迎える会社も、この退職を考慮しての採用となっているのです。
サービス業の様に産業のソフト化が進むと、往々にして価格競争が全面に出て、価格を下げることにノウハウを求めるようになってきます。ソフト化すると業務がきわめて簡素化され、業務の効率化のためにマニュアル化され、これをマスターすれば、誰でも短時日に一人前になれます。新人の即戦力には極めて有効ですが、3年もやっていると学ぶことが無くなり、仕事に飽きが来てしまいます。後輩にはすぐに追いつかれてしまう一方、残っている先輩の苦労振りを見ていると、なんとなく自分の将来像を見てしまいがちです。
情報系の場合は、技術が日進月歩で、せっかく苦労し習得した技術が陳腐化してしまい、自己の存在をアピールできる期間が短いという悩みがあります。
いずれもしても、社員の賞味期限が短いのが特徴です。入社後の不断の努力が報われるのであればいいのですが、事業の奥が浅いため、これも叶わない状況にあると言えます。
経営者も大変です。ソフト化した産業は総じて参入障壁が低いため、利益を上げるためには、若い人を登用する、昇給は早めにストップする、ポストは多くしないなど、長期間居づらくなるような施策を採りがちです。ソフト化した産業では往々にして古参社員は不要なのです。
利益が出ている会社は表面上は立派な会社のように思えますが、内部では意外ときびしい環境にあるといえます。先日、某紙に衝撃的な表題が載っていました。「ユニクロ、入社5年で9割が退職する柳井王国」というものでした。内容の真偽については分かりませんが、現代の優良企業の一つですので、少しショックでした。しかし、これが実態なのかもしれません。
終身雇用などは制度としてはあっても、その適用を受ける事は事実上難しい環境になりつつあります。しかし、IPO間もない企業はノウハウなどの財産が薄く、人材が唯一の財産といえます。こんな時だからこそ、人材の育成にコストをかける時代かもしれません。それでも落ちこぼれる人材はやむを得ませんが。