「「シリアル・アントレプレナー」」
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先日、1979年徳島で株式会社ジャストシステムを立ち上げ(株式会社化は1981年)、一時日本語ワープロ市場で圧倒的なシェアを誇ったソフトウェア「一太郎」を開発した浮川和宣氏が2009年新たに創業した企業、株式会社MetaMojiの話を会社の方からお聞きする機会を得た。浮川氏がジャストシステムを立ち上げ、大きく成長させたことについては、夫人でかつ副社長、また同じく技術者である浮川初子氏の協力が欠かせなかったことは夙に有名である。2番目の創業企業MetaMojiについても同様で、今回も夫人と共に新会社を立ち上げられた。浮川氏のインタビュー記事を読むと、新会社の設立に熱心だったのはむしろ夫人の初子氏の方だったのかもしれない。
株式会社MetaMojiの主事業は、手書きの文字入力ソフトの開発。前述したように先日会社の企画の方からお話をお伺いしたが、その際に手書き文字入力のデモも見せて頂いた。その方が、失礼ながら余り美しいとは言えない手書きの日本語で入力すると、パソコン画面上に、まずは書かれた手書きの文字そのものが映し出され、次に転換キーを押すと見事に活字に転換された。転換スピードも早い。お聞きするとかなりの悪筆の文字でも上手く認識しほぼ100%手書きを読み込むそうだ。
ご存知の通り、現状スマートフォンやタブレットなど新しい表示端末が出て来ており、手書き入力システムが採用される対象は広がっている。今後は、文字入力だけでなく、手書きの絵や図の入力・転換、さらには音声入力の開発も視野に入れているという。
浮川氏は30歳でジャストシステムを立ち上げ、60歳でMetaMojiを創業された。事業のアイデアは尽きないようで、さらに次の新しい事業の開発もあるかもしれない。
こうした新事業、新企業を一度だけでなく、数回連続して立ち上げる企業家=アントレプレナーをシリアル・アントレプレナー(serial entrepreneur)という。浮川氏の場合は最初の創業から次の創業まで大分時間があいているが、シリアル・アントレプレナーといえるだろう。
シリコンバレーではそうした企業家が数多く存在する。彼らは、新事業や企業の立ち上げに最も強い情熱を持ち、会社が軌道に乗った時点(通常はIPOした時点)で次の経営者に経営はバトンタッチし、自身は再度新会社、新事業の立ち上げに向かう。
事業アイデアを発想し、企業を立ち上げ、少人数の組織を運営して軌道に乗せていく能力と、軌道に乗りある程度の規模になった組織の経営・運営に求められ能力は異なる。その意味では常に事業や企業の立ち上げに勢力を注ぐシリアル・アントレプレナーは理にかなっており、新しい事業のトライアルを増やすという意味でその存在意義は大きい。日本でも浮川氏のようなシリアル・アントレプレナーが多数輩出することを期待したい。
※「THE INDEPENDENTS」2012年7月号 - p8より