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「香川大学ビジネススクール准教授就任のご挨拶」

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香川大学大学院地域マネジメント研究科
准教授 高木 知巳 氏

1963年香川県三豊市生まれ。82年丸亀高校卒業。86年早稲田大学政治経済学部卒業。86年日本合同ファイナンス(現ジャフコ)入社。91年MBA, London Business School。2007年アイビス・キャピタル・パートナーズを経て、11年6月よりインディペンデンツのパートナーとなる。2012年4月より現職。

この度、故郷の香川大学大学院地域マネジメント研究科(通称:香川大学ビジネススクール)准教授に就任しました。大学の教員になるのは初めてです。産学官連携担当で、授業では「事業創造論」を教えます。

香川大学の前身は、大正12年(1923年)に設立された官立高松高等商業学校です。1949年に同じ高松の香川師範学校・香川青年師範学校と合併して新制大学として発足しました。

官立高松高商は、四国では随一の、全国では12番目に設立された官立高等商業学校で、徹底したスパルタ式の校風で知られていたということです。昭和10年代には入試競争率は10倍を超え、東の横浜高商(現在の横浜国立大学経済学部・経営学部)と並ぶ全国有数の難関高商だったらしいです。

高松高商のもっとも有名な卒業生は大平正芳元総理。(6期生)地元の三豊中学(現:観音寺第一高等学校)出身の大平先生は、奨学金を得てさらに東京商科大学(現:一橋大学)から大蔵省に進み、その後政界入りしています。

銅像がある、と聞いていたので、就任後、学生に聞いたところ、「それは誰ですか?」仕方なく、私と同年代位の事務職員に聞いたところ、大平先生はわかったものの、銅像があるとは知らなかったようです。

結局、交友会館の脇で見つかったのですが、この銅像は、40日抗争で大平先生が急逝したあと、志半ばにして倒れた同窓を惜しんで全国の卒業生の募金で作られたということ。ちなみに、大平先生が生まれてはじめて洋食を食べたのは、寮の食堂で出されたライスカレーだったらしいです。

そうした輝かしい歴史を持つ高松高商は、戦後、新制大学の経済学部となり、実業とかけ離れた画一的な教育をするようになりました。現在では全国どこにでもある地方国立大学の経済学部になっています。

そんな中、2003年に設立された香川大学ビジネススクールは中四国地方で唯一のMBAが取得できる経営系専門職大学院です。「地域を支えるリーダー養成」を標榜する本研究科は、ある意味、高松高商の伝統を一番引き継いでいるのではないかと思います。

学生の多くは、企業、官庁、地方自治体で仕事をしながら学ぶ社会人です。平日夜間のほか土曜日や夏季に集中的な授業を行い、徳島など遠隔地での受講を可能とするなど、多忙な社会人に配慮しています。

1学年の定員は30名で、専任教員数は15名という信じられないような贅沢な教育体勢です。学生2名に対して専任教員1人が対応するという少人数教育により、学生1人ひとりの問題意識に応じたきめ細やかな指導を可能としています。

それでいて、授業料は国立大学であるため、年間535,800円。夜間コースで仕事を続けながら履修できることも考えると、おそらく、日本一お得なMBAではないかと思います。ビジネススクールでありながら、(国の補助金が前提で)コースが全くビジネスとして成り立ってないのは如何なものか?という疑問はありますが。