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「経営戦略を考える順序 ~経営の8大要因~」

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株式会社チェンジマスターズ
代表取締役 法貴 礼子 氏

広島市出身。広島市のベンチャー企業の経営企画室で株式上場準備を4年間担当。経営計画立案や予実管理を実務として行う。その企業は4年間で年商が18倍に成長。2003年に静岡市へ移住。営業職を通じて数多くの中小企業経営者と接する中で、経営計画を立案・活用できていない企業が大半であることを知る。 2005年2月に、企業成長の核となる経営計画立案サポートの専門会社「チェンジマスターズ」を設立。「会社を良くしたい」という熱い想いを形にするお手伝いに全力投球しています。

◆会社概要
本社:静岡市駿河区新川2-5-36 TEL:054-266-7220
設立:2005年2月 資本金:4,000千円
http://www.changemasters.jp/

―経営の目的
「経営の目的は、経営の源である顧客を作りだし、その数を多くしていくことにある」こう言ったのは、かのピーター・ドラッカーです。
ここで考えるべきは、「多くする」ということです。今より多くなればいいのでしょうか?どんな会社の周りにも、多数の競争相手が存在します。ですから、顧客の多い/少ないというのは、競合相手と比較して相対的に判断する必要があります。
ランチェスター戦略は、「競争の法則」「1位づくりの戦略」ということで非常に有名です。ソフトバンクの孫社長やH.I.Sの澤田会長、セブンイレブンやタリーズなどの名立たる企業が中小企業だった頃から活用し現在の地位を築いてきたので、ご存知の方も多いでしょう。市場占有率が1位になれば、必ず競合他社よりその市場においては多いと言い切れますから、ランチェスター戦略的には、「経営の目的は、経営の源である顧客を作りだし、市場占有率1位をつくることにある」とドラッカーの言葉を言い換えられますね。

多くの会社が、顧客と自社とのことだけを考えて経営戦略を練ります。しかし、同じ顧客を虎視眈々と狙っている競合に勝って、初めてその顧客と取引ができるわけですよね。競合先に勝って顧客と取引するようになるには、競合についても考慮に入れておく必要があるわけです。選択権は、顧客が100%握っていることを忘れてはなりません。
すなわち、経営で物事を考えるとき、自社の立場だけでなく、顧客の立場、競合の立場から、複数の見方でバランス良く考えることが自社の経営を良くすることに繋がるわけです。
皆さんは、競合のことをどれくらい知っているでしょうか?競合の情報をどれくらい戦略に活かせているでしょうか?

―自己中心になりがちな経営戦略
経営の善し悪しは、結果でしか判断されません。だから、一部には経理や資金繰りが最も重要な仕事であるように思っている人も少なからずいます。経理の本などを見ると、お金を中心に戦略を考えることを表現しているようなものも目にすることがあります。
そうではなく、直接粗利を生む顧客あるいは見込み顧客が潜んでいる市場に目標を定めることが重要です。
では、戦略を考える順序について考えてみましょう。戦略を考えるにあたっては、その順序がとても大切です。
会社内では実にいろいろな仕事がなされていますが、顧客から商品を販売した時以外で粗利が発生することは決してありません。
先述したとおり、顧客がいるから会社は成り立っているのですから、どのような方法で顧客を見つけるかが経営の最も中心的な仕事になります。
全体図で表すと、図表のようになります。これを逆の資金や人の配分から考えてしまうと、本来最も大切な顧客・市場への対策が疎かになってしまいます。経営の本質から考えると、顧客起点の発想が必要なのです。

―経営の構成8大要因で考える
別の角度でお話しします。どんな会社にも共通する要因に分けてみると、次の8つの要因に分解することができます。

 1.商品・有料サービス      5.既存顧客の維持方法
 2.営業地域           6.人員・組織
 3.業界・客層・ルート      7.資金配分
 4.新規獲得の営業方法      8.時間

お客様から求められる商品やサービスがあるのは当然です(1)。それらをどこの地域に重点的に提供するのか(2)。どのような業界や客層に向けて展開するのか(4)。これら1から3は、お客様を作る上での直接の目標対象となる要素です。4・5はお客様を作るための知識ややり方、6・7はお客様を作るための手段になります。8の時間は、それ全てにかかってくるものです。
物事を考える時に、目的→手段という順番で考えるとうまくいきますよね。経営においても、経営目的である「顧客づくり」をはっきりさせた上で方法や手段を考えるようにすることが重要です。しかし、多くの会社が、「今これだけの資金があるから、○○をしよう」という発想で物事を考えています。これでは、手段と目的が逆転しています。だから、往々にしてうまくいかないのです。
よく「選択と集中」と言われますが、資金調達力の乏しい中小・ベンチャー企業は、大企業の真似をするのではなく、商品、営業地域、業界・客層に目標を設定し、まさに選んだ目標に集中して資金投下しないとなりません。

皆さんの会社では、経営を構成する8大要因について戦略を立てていますか?また、目的から手段を考えられていますか?ぜひ、一度チェックしてみてください。

※「THE INDEPENDENTS」2011年10月号 - p19より