アイキャッチ

「英経済紙 小型株記者へのインタビュー」

公開


香川大学大学院地域マネジメント研究科
准教授 高木 知巳 氏

1963年香川県三豊市生まれ。82年丸亀高校卒業。86年早稲田大学政治経済学部卒業。86年日本合同ファイナンス(現ジャフコ)入社。91年MBA, London Business School。2007年アイビス・キャピタル・パートナーズを経て、11年6月よりインディペンデンツのパートナーとなる。2012年4月より現職。

AIMを誕生以来追い続けている小型株記者に、その歴史や海外企業の上場についてインタビューしました。(2011,5,29)

Q:AIMはどういう理由で成功したのでしょう? また、現在抱えている問題点は何でしょう?
A:一つには幅広い業種の会社があったことでしょう。最初から成功したわけではありません。1995年にスタートした当時の上場企業は100社程度に過ぎません。その後、.comブームになり、急に成長市場への関心が高まるという幸運がありました。いろいろな取引所がAIMを真似ようとしました。ドイツのNoir Marketなど殆どの欧州大陸の市場です。.comブームが終わったとき、AIMも影響を受けましたが、他の市場は.com企業に余りに偏っていたたため、ブームが終わると同時に市場が成り立たなくなりました。
しかし、AIMは石油やガス、金鉱山と言った資源株も沢山あったため、その後の商品価格上昇で活況となり、生き残ることが出来ました。これは、大英帝国の名残りとしてオーストラリア、南アフリカ、カナダなどと結びつきが深かったからです。
問題点と言えば、AIMインデックスで見て、1995年に投資した1ポンドは(株価上昇と下落を経て)現在もほぼ1ポンドである、ということでしょう。現在の上場企業は約1180社ですが、これは2007年のピークである1700社からかなり減っています。市場時価総額は昨年から比べると回復しています。ただ、今年の新規上場を見ても資源会社に偏っているのは問題といえば、問題です。

Q:海外企業の上場についてはいかがでしょう? 彼らはどういう理由でAIMを選んでいるのでしょうか?
A:先ほども言った資源株が多いですが、中国からの上場も増えていますね。中国の場合、自国の証券市場で上場するには小さすぎて、AIMを選んでいる、という事情があります。創業者がシェアの大半を持ったまま上場できますので、後でなにか問題が起こった場合、非上場化するケースもありますね。
逆に、AIM上場後順調に成長し、自国証券市場と2重上場にしたり、AIMから自国市場に移るケースもあります。China Citrasという会社はオレンジ果樹園運営企業ですが、RCG HLDの場合は香港に移りました。China Shotoというバッテリーメーカーの場合は非上場化しました。今週のFTコラムで書いたHeich ChemicalはAIM上場中で、今年配当を始める予定です。
中国だけでなく、インドからも増えています。インドの場合、イギリス法を使っていますし、勿論、言葉の問題もないので、これからも増えそうですね。

Q:インド企業の場合はどういう理由で上場しているのでしょうか?
A:中国と同じですね。自国の証券市場には小さすぎるのです。成長した後にBombay市場に移ったりしています。

Q:どのセクターや会社が注目されているのでしょう?
A:小型株の常ですが、一社一社違うため、どのセクターと言うのは難しいですね。AIM50のインデックスを見れば、構成銘柄はコンスタントに替わっています。このため、機関投資家がインデックス投資をするというのは不可能でしょうね。

Q:AIMの課題は何でしょう?
A:景気が悪いことでしょうね。仕組み自体はうまく行っていて、変える必要はないと思います。絶対やってはいけないのは規制の強化です。これをやると上場コストが上がってしまい、AIMの魅力がなくなってしまいます。