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「反日感情はいかに?脱皮できるか中国」

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ヴェリタスアカウンティングファーム
代表 林 高史 氏

1990年名古屋大学経済学部卒業後、あずさ監査法人、ジャフコ(ジャフココンサルティング)を経て、2005年林公認会計士事務所開設。同年北京大学へ留学。08年大連市に事務所開設、ヴェリタスアカウンティングファームに統合。

【ヴェリタスアカウンティングファーム】 http://veritas-af.com/

皆様こんにちは、林です。9月29日から大連に来ておりまして現在原稿を作成しています。大連は既に最低気温が3?5度程度まで冷え込み、冬支度が急ピッチで進んでいます。日本はまだ夏が終わりかけという段階なのに、やはり大陸性気候なのだなと実感しております。

さて、現在、例の尖閣諸島問題で日中関係に亀裂が入っているとの報道が日本では連日されておりますが中国においては余り派手に報道されておりません。せいぜいニュース番組のテロップで状況が報告されている程度です。なぜこんなに温度差があるのでしょうか?

誤解を恐れず申しますと、今回の衝突事故については、中国サイドにも「なんとまた幼稚な事件を起こしたもんだ」と中国漁船サイドを避難する声も多く、加工貿易でたまった外貨をふんだんに使って世界中の資源を押さえに掛かっている最中、尖閣諸島沖の小さな油田如きで避難を浴びたくないという強かな姿勢が反映されているものと思っています。横断幕を掲げていかにも大きな国際問題であるかのように反日抗議デモを行っていますが、これも国民感情の一種のガス抜きあると思ったほうがよさそうです。誰が微笑んでいるか、もうお分かりですよね。

中国は、近々GDP世界第2位の経済大国になることが確実です。そんな中、中国共産党独裁の国家運営はさまざまな面で利権と格差を生み、これが政治経済に対する厳しい国民感情を生んでいます。これに対し、大手銀行の幹部が脱税や公金使い込み等の犯罪で公安当局に摘発されたこと等が大きく報道されていることは、中国が世界で認められる国に成るべく共産党も改善を進めているといった印象を国民に植え付ける狙いがあると思います。

何せ13億人の国民を抱えている大国です。国民感情に対し中国共産党は神経を尖らせているのは当然の成り行きでしょう。

さて、一般的な中国人の日本に対する印象はどうなのでしょうか?私の経験では現代中国人は日本に対して極めて好意的です。何故か?日本は敗戦国でありながら戦後これだけの経済成長を遂げ、中国人から見ても尊敬に値する存在ですし、なんと言っても多くの企業が中国に進出し投資と雇用を創出しているからです。また若年層は日本製が大好きです。日本製品を保有していることが自慢の種になるほどです。どこに反日感情が生まれる原因がありましょうか?日本に輸入される中国の情報は加工されているものが多い、これに基づいて中国の状況を判断することで逆に日中関係に傷を付けてしまうことあるでしょう。気をつけたいものですね。

※「THE INDEPENDENTS」2010年11月号 - p14より