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「THE INDEPENDENTS CLUB プレゼン交流会(2010年11月19日)レポート」

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こんばんは。三優監査法人の杉田です。
11月2日から14日までアメリカに行ってきました。
前半はアメリカで上場したいという会社と一緒でした。
その後は、オーランドの国際会議で500人の会計士を前に英語でスピーチしました。
飛行機の中で何度も練習した甲斐があってアメリカ人にとても誉められました。

今日の午前中は東松山市の23年付き合いのある未上場の物流会社で幹部研修の講師をしてまいりました。年商13億円だった運送会社も、今や社員5000名、年商150億円の3PL会社に成長しました。かつては、花王、ソニーで人材研修のお手伝いをしていましたが、この会社では経営計画のお手伝いから始まりました。今は幹部研修の塾頭として人材育成のお手伝いをしています。

私自身は1986年に三優監査法人を立ち上げたアントレプレナーです。
現在では60社を超える監査を手掛け、200名以上のスタッフがいます。
世界第5位のBDOインターナショナルとも提携、国内では担当会社数で7位の監査法人となりました。私どもの誇りは自分たちで上場を手掛けたクライアントが85%以上であることです。

しかしここまでは本当に大変でした。最初の10年間は赤字です。企業ではないので借入もできませんでした。それだけに経営者の苦しみはよくわかります。つい同情してしまうので、最近は監査担当者から現場に来ないように言われています。

会計士として39年、今年60歳になります。
この間、3回ベンチャーブームを見てきました。
今待たれているのは第4次ベンチャーブームです。
アメリカの景気は思ったより良いです。GMも再上場し220億ドルの資金調達をしました。
今年のIPOは100社を超えるそうです。日本は22社ほどの予定です。

ぜひ皆さん、頑張ってください。
私どもの監査第1号であるピジョン(東:7956)は育児用品日本一の会社ですが、1/3は中国で販売しており3年後には社内公用語を英語にするそうです。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(東:4756)とは枚方に本社がある年商20億円の時代に始まり、今では3000億円企業となりました。
大戸屋(J:2705)の第1号店は池袋の労務者が焼鳥で一杯ひっかける店でした。今や若い女性で溢れる店です。

朝6時の飛行機で福岡に行き9時に天神で会議、午後は予備調査、夜の最終便で東京に帰る。
これを月に4回、そして大阪、名古屋も同様に日帰りで月に何度か行きました。
そうでないとベンチャーの監査法人は立ち上がりません。
ドワンゴ(東:3715)の社長室には寝袋がありました。
面談日は毎週土曜日でしたが、私もそのほうが都合よかったので喜んで行きました。
ベンチャー企業にはベンチャーの監査法人が合っていると思っています。

私の墓碑銘は「新規上場分野で日本経済に貢献した男、ここに眠る」にしてもらいたいと思っています。

大企業と100名の会社では経営のスタイルは違います。
ある会社の朝礼に出席した時、お客様からクレーム報告のあった店長を社長が思わず殴る現場を見ました。その時、奥さんの経理部長がその店長の唇の血をぬぐい、そっと1万円札を握らせていました。
「ああ、この会社は奥さんが経理部長でないと持たない」と思いました。
実はこの日、奥さんに経理部長を辞めてもらうよう言うつもりでした。社長の奥さんが経理部長では上場できません。結局その日は、社長には言いそびれてしまいました。

若い経営者にお願いしたいことがあります。
アメリカでは経営トップを外部からつれてきます。米国ヤフーの創業者2人は2年前まで副社長でした。技術者には経営できません。経営が何たるか考えて欲しい。
アメリカはフットボール経営です。役割分担が決まっています。
経営には難しい問題がたくさんあります。創業20年の会社になると、3回ぐらいは倒産危機があり労働争議も経験しています。そういう会社の創業経営者は百戦錬磨です。
若いベンチャー経営者にはそんな経験はありません。ぜひ周囲にそういう人を入れて下さい。
私はいつも3つ確認していることがあります。
どんな経営者と付き合っているか、勉強会や研修会には参加しているか、相談相手はいるか。よき先輩、よいアドバイザー、そして勉強熱心。それが潰れない会社を作る秘訣です。

大企業はどんどん海外に行きます。日本の雇用はますます減っていきます。
雇用を作るためにはベンチャー支援が不可欠です。
少子化問題も非常に重要です。
フランスは医療と育児支援の制度充実で少子化に歯止めがかかりました。子供は社会の宝です。
上海万博で見た中国人中学生の目はとても輝いていました。日本の学力低下も深刻です。
政治にはベンチャーの活性化を強く求めます。
JASDAQやTOKYO AIMなど日本の取引所にも頑張って欲しいと思います。
現在、相談に来る3社に2社はシンガポールや香港などの海外上場を考えています。
しかし日本に拠点とマーケットのある会社は日本で上場を目指してください。

また機会があれば皆様に海外上場の実態などもお話できたらと思います。
海外時差ぼけと今朝の研修でのノスタルジックな気持ち、若い経営者への思いが入り混じり失礼しました。本日は皆さんとご一緒できる機会をいただきありがとうございました。(拍手)

〜2010年11月19日 THE INDEPENDENTS CLUB プレゼン交流会より〜