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「言葉」

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エルゴブレインズ(現スパイア)
ファウンダー 井筒 雅博 氏

1959年京都生、やぎ座B型、立命館大学卒、西武百貨店、第一企画を経て独立創業。現在は若手映画人を育てる「シネアンビシャス」プロジェクトを推進中。現在、株式会社アルゴノーツ 代表取締役CEO。

【株式会社アルゴノーツ】 http://www.a-notes.net/

言霊(ことだま)、という言葉があります。かなり日本的な概念の様です。私は個人的にこの言葉の概念を大切にしたいと心がけて来ました。意味は、口に出して言った言葉は「実体化」する、もしくは「実体化」させないといけない、という感じでしょうか。

日本人が欧米人に比べると寡黙なのは、言霊概念の影響かも知れません。

前に書いた10年後の自分をイメージするという成功法則ですが、これを実現させるために必要な重要な要素、それは「そのイメージを広言する」ということです。

言葉にする、人に言うことで、自分自身を自己暗示にかけるという側面と、良質で本当に必要な仲間を作るためには具体的に自分の目標をしっかりと語り続ける必要がある、ということです。

ただし、単に語っているだけでは意味がありません。単なる「口だけ」人間になってしまいます。必要なのは「目標に向かって身体を動かす」ことです。周りの人間に、自分が自己実現のために最大限の努力をしていることを身体で示しその上で、言葉で示すことで、始めて歯車が回りだすのです。まさに「想いが形になっていく」わけです。

こうして、言葉(イメージ)が独り歩きをしだし、周囲にどんどんと波及していくようになったらしめたもの。後は自らの言霊の力を信じて、自分の道をまい進するだけです。

言葉、と言っても日々大量に発しています。その中で言霊化する言葉とは、最深のコア部分から繰り返し発せられる言葉だと思います。

当然、人は誰でもたくさんの夢を持っています。ひとつしか実現できないわけではありませんが、複数を同時に実現するのは至難の業。まずは一番コアになる夢(イメージ)を見つけ出しその実現に集中する。そういうブレない姿勢を示すことで、周りの人が信頼してくれるのです。そしてコアの夢を実現することができれば、他の夢もそれに従って実現していくことが多いのだと思います。

巧言令色すくなし仁、という言葉があります。

決して寡黙な人が立派で、多言な人がダメ、ということではありません。言葉の数の多寡では無く、言葉に実があるかないかが重要なポイントです。

言葉の重みをきちんと認識している事が、周囲の人の信用を得る、まさに第一歩だと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2010年9月号 - p11より