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「イー・ ココロ!個人のこころを、企業が負担する仕組み」

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ソーシャルインパクト・リサーチ
代表 熊沢 拓 氏

慶応大学院(KBS)卒。ベンチャーキャピタル畑が長いが、現在は、ソーシャルメディアポリシー、コーズマーケティング、社会起業支援などに注力。ソーシャルインパクトを最大化する手法を研究中。

【blog】 http://secondarymarketplace.blogspot.com/
【Twitter】 http://twitter.com/kumataku1

イーココロ!を運営するユナイテッドピープル(株)の関根社長にお会い頂いた。イーココロ!は NPO/NGOの募金・寄付サイトで、いわゆる「クリック募金」サイトを運営している。ボタン一つで個人が国内外のNPO/NGOに無料で手軽に募金できる仕組み。無料の仕組みは、サイトでNGO等の取り組みを紹介し、それを見に来た人が支援したい団体のボタンを押すと、クリックごとに支援企業のサイトが立ち上 がり、その企業のイメージアップにつながるというものだ。

当社の設立は2003年。寄付金額も年間2500万円を上回り、じょじょに日本にも寄付する習慣が広がりつつあることがわかる。結果的にみると、寄付する文化がない日本で、ネットを使った最初の仕組みとしてクリック募金はいい仕組みだったようだ。現在、関根社長はよりアクティブに、次のフィールドにビジネスを展開することを計画している。 

ここ数年で、様々な会社やプレーヤーがこの募金・寄付ビジネスに参入してきている。ビジネス側にいる人からすると、社会起業関連ビジネスの中でもこの分野が魅力的に映るようだ。英国のJustGivingは2001年に創立され、累計で825億円の寄付を仲介し、その手数料で5%(日本は10%)とっており、ビジネス的にも十分に儲かるものになっている。

クリック募金は寄付したいという消費者の気持ちを企業が代弁するお金の流れになっている。

お金の出し手としては個人、企業があり、お金の受け手としては営利企業、非営利(NPO、社会的企業)がある。今後、個人から非営利(NPO、社会的企業)へのお金の流れはどれくらい増えていくのか?そのルートは寄付サイト経由なのか、それともソーシャルネットワークサービス経由となるのか?また、個人からの非営利(NPO、社会的企業)へのお金の出し方は、リターンを期待しない寄付だけなのか、それともこれまでとは違ったリターンを期待する投資形態もありうるのかどうか?

いずれにしろ、今後、ソーシャルメディアの普及をはじめとする「ソーシャル化」によって、モノを買う流れとお金の流れ(ファンドレージング)が今後大きく変わっていくことが予想されることだけは間違いなさそうだ。