「IPOの目的」
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元野村證券株式会社
公開引受部 出原 敏 氏
野村證券で長い間IPO業務に係わる。2008年定年退職し、現在は非常勤監査役及びIPOコンサルティング等の業務に従事。
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昨年夏以来行われていました、キリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合交渉が、2月8日残念ながら決裂に至りました。財閥系会社と同族会社、社風も違いますが、上場会社と未上場会社との統合であり、未上場会社のサントリーには株価がないため、統合比率が問題になるのではないかと思っていましたが、案の定でした。報道によりますと、サントリーは今後の事業戦略の中、海外進出で多額の買収資金が必要となるような場合は、株式上場も検討して行かねばならないとのことです。
関西では竹中工務店、ヤンマーディーゼルとともに未上場会社御三家と言われた一角が崩れそうです。
サントリーは1899年に鳥井家によって創業されました。同社は金融商品取引法上の開示会社ではありますが、創業以来鳥井一族がほとんどの株を所有する同族会社であり、次世代への相続対策の悩みも持っているため、本当に単独で上場するかもしれません。
一方、先般出光興産の話を聞く機会がありました。同社は潤滑油のメーカーとして1911年に福岡県出身の出光佐三が創業。人間尊重という理念の下、上場はしないという創業者の考えから、長い間未上場会社のままで来ました。しかし、バブル崩壊後、過大な借入金に悩まされました。ついに金融機関から経営改善要求を突きつけられ、非同族の社長の下、経営の結論は「開かれた会社にする」ということでした。創業の禁を犯して、同社は2006年についに上場しました。
日本を代表する未上場会社が時代の流れに抗しきれなくなり、上場を行いあるいは検討して来ているのです。今日ではIPOの目的も、両社に代表されるような利用のされ方が増えてくるのではないかと思います。
上場のメリットとしては伝統的に、資金調達、これを生かしての財務体質の強化、社会的信用力の増大とPR効果、優秀な人材の獲得、経営管理体制の強化、従業員のモラール向上、法人税等の税制上のメリット、その他に株主側のメリットとして創業者利潤の獲得、株価を通じての合理的な企業評価などが挙げられています。また民営化企業では経営の透明化がよく言われます。
上場は古くは創業者利潤の確保とともに、相続税対策に結構利用されてきました。新興市場ができてからは、資金調達、人材確保などの企業成長のための上場が増加してきました。
最近では、ストックオプションあるいは企業買収などの際に、対価としての株式の利用が増えてきており、特に世界の企業を相手に買収交渉する場合などでは、上場の有無が交渉上影響を受けることになりかねません。
また、創業者利潤の確保については、上場から来る煩わしさから逃避できることもあり、企業売却を選択するケースが増えてきています。しかしサントリーの例に見られるように、未上場会社であることが企業買収などをする際に不利であるばかりでなく、買収などをされる場合にも、適正な評価をされないなど不利な条件となりかねません。
上場の目的も時代によって変わってきています。
【IPOアラカルト】スーパーダイエーと中内氏
【ベンチャーコミュニティを巡って】IPO再考(秦信行)
※「THE INDEPENDENTS」2010年3月号 - p15より