「新企業恐竜論」
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元野村證券株式会社
公開引受部 出原 敏 氏
野村證券で長い間IPO業務に係わる。2008年定年退職し、現在は非常勤監査役及びIPOコンサルティング等の業務に従事。
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昔、恐竜論というものがあり、大きくなりすぎた者はその大きさゆえに、急激な環境変化への対応が難しく、滅亡の時を迎えるというものであったように思います。恐竜は今からおよそ2.5億年前から6,500万年前にかけて、2億年近くに渡って地球上で大いに栄えた生物とされています。最初は肉食性で小さかったものが、長い進化の過程で草食性の巨大なものが現われ、大きいものは体長40mにも達するようになったといわれています。
それが今から約6,500万年前に突然に絶滅してしまいました。現在では隕石が地球上に衝突し、これを契機にして地球が急速に寒冷化、地球上の生物のほとんどが一気に絶滅してしまったとの説が有力とのことです。
私は食物連鎖の頂点にあった大食漢の恐竜が、寒冷化から来る食物不足から、次第に飢え死をしていったとのではないか思っています。しかし、生き残ったものもいます。食物連鎖の下層にいるものほど生き残ったのではないでしょうか。
さて、ナショナルフラッグのJALがついに法的整理の方向となってしまいました。稲盛新CEOの下で一日も早い蘇生を願うばかりです。昨年6月1日にはあのGMも経営破綻し、今や第二の企業人生を歩んでいます。しかし、両社とも今から30年前にはそれはもう眩いばかりの憧れの企業でした。
GMの場合、当時は名実ともに世界のNO1企業で、多くに企業がその強さを学んだものです。それがあっけなく倒産してしまいましたので、企業は大きくなることが決していいことばかりではないことを再び学びました。
先のリーマンショックでは日本でも、日立、ソニー、パナソニック、トヨタあるいは野村証券など日本を代表するグルーバル企業が一気に大赤字に転落してしまいました。
現在、グローバル時代の中にあって、M&Aによる世界的な企業の集約化が進んでいます。しかし、企業が大きくなればなるほど、予想しえない原因で取り返しのつかない事態に陥ってしまうことを、改めて認識しておかなければなりません。政府が救済しなければ立ち行かないような企業は本当に必要なのでしょうか。それこそ国家資本主義となってしまい、資本主義の本質と矛盾してしまいます。
こういった企業にはいくつかの特徴があります。それは過去に成功体験があった。企業年金など福利厚生の充実に熱心である。さらに、それらの渦中にいた年代層が企業の中で重きをなし、保守化しているということです。何か今の日本に似ています。その結果、革新的な変化が顕在化した時には、一気に滅亡まで向かってしまう場合もあるのです。
日本では中堅・中小企業の層が厚く、これにより、産業構造の強さを維持できているとされています。貿易立国の日本では産業の強さが前提です。一方で一部の企業が大きくなればなるほど、そのリスクを補完すべく、他方では多くのベンチャー企業が生まれ、産業構造に歪がないよう留意して行く必要があると思います。
※「THE INDEPENDENTS」2010年2月号 - p17より