■ 裏表をなくす社会課題解決型スマートウェア

 当社は、「裏表も前後もない」スマートウェアを開発するスタートアップです。従来の衣服は、裏表や前後を正しく認識して着ることが前提でしたが、その常識を見直し、「誰でも迷わず着られる服」という新たな価値を提供しています。

 このアイデアは、日常の些細な違和感から生まれました。洗濯後に裏返ったままの衣服を一つひとつ直す手間や、子どもが服を着間違えてしまう光景。さらに、発達障害の子どもや認知症の高齢者など、「着替え」に困難を抱える人々の存在が、この課題を社会的なものとして浮き彫りにしました。

 裏表や前後を意識せずに着られることで、着替えの自立を支援し、着間違いを防止。実証実験では、着替え時間の短縮や介護現場の業務効率改善といった成果も確認されており、衣服を通じた社会課題解決の新しいアプローチとして注目されています。

裏表も前後もないスマートウェア

■ 福祉・介護領域から一般アパレルへ広がる事業展開

 当社の事業は、介護・福祉・リネン業界という明確な課題領域からスタートしています。特にリネン業界では、衣類の仕分けや洗濯工程において「裏表を直す作業」が不要になることで、生産性の大幅な向上とコスト削減を実現します。

 すでに介護施設やリネン工場での実証を通じて、継続発注につながるプロダクトマーケットフィット(PMF)を確立しつつあり、数万枚規模の導入も進んでいます。

 今後は、福祉領域で確立した価値を起点に、一般インナーウェア、ウェルネスウェア、さらにはファッションやIPビジネス(4面Tシャツなど)へと展開を拡大。サブスクリプションやライセンスモデルを取り入れたストック型ビジネスの構築も進めています。

「裏表のない」肌着を原点に、ソックス、パンツ、介護ウェア…
 ユニバーサルなラインナップが未来に続きます。

■ 特許・研究開発・資金戦略による成長とIPO構想

 当社の競争優位性は、「機能」に着目した独自技術と知財戦略にあります。裏表のない衣服を実現する縫製・構造技術について、複数の特許を取得済みおよび出願中であり、国際特許も含めて参入障壁を構築しています。

 また、医師・医学博士を中心とした研究体制を持ち、大学や医療機関と連携しながらエビデンスに基づく開発を推進。200名以上の実証データをもとに、再現性のあるプロダクトとしての信頼性を高めています。

 現在は、BtoBによる安定収益基盤の構築と並行して、事業拡大に向けた資金調達を進めており、プレシリーズ段階での調達も視野に入れています。

 今後は、福祉領域での導入拡大を基盤に市場を段階的に広げ、2031年に売上30億円規模でのIPOを目指す成長戦略を掲げています。

 


 
コメンテーターより
(株)AGSコンサルティング 執行役員/関西エリア統括部長 渡邉 高広 氏
 

 事業コンセプトが大変優秀で、ユニバーサルデザイン・合理性(ミニマリスト)・ジェンダーレスがシンプルかつそのままブランド価値を創造しており、社会課題にも刺さっていると思います。
 “地方発”であることもメディアに乗りやすく認知度を高めております。
 アンダーウェア中心で、ともすると単体ではスケールしにくいという課題も、BtoBや横展開を想定していることで隙がない事業計画が描けております。
 個人的には国内のみならず海外(欧米)での成長性が大変楽しみな事業であると感じております。

(株)AGSコンサルティング 執行役員/関西エリア統括部長 渡邉 高広 氏

 
 
※「The INDEPENDENTS」2026年4月号 - P.7 掲載
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