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「日本再興戦略とベンチャー支援策」

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経済産業省 経済産業政策局 新規産業室
新規事業調整官 石井 芳明さん

1987年岡山大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。工業技術院国際研究協力課、中小企業庁経営支援課、経済産業政策局産業組織課、中小企業基盤整備機構資金支援課、大田区産業経済部産業振興課課長、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年より現職。1996年カリフォルニア大学バークレー校留学(公共政策 単位履修生)。2000年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年早稲田大学大学院商学研究科 卒業(商学博士)。

―ベンチャーの意義は「イノベーション」と「雇用」
パソコン、宅急便、ファーストフードなど、社会を変えるイノベーションはベンチャーから興きています。また近年の雇用創出は、社齢の若い事業所から創出されています。経済産業省のベンチャー支援策は1963年の投資育成会社設立に始まっていますが、90年代後半以降に整備が進みました。その間、数多くのベンチャー企業が育ちました。残念ながら2006年ライブドアショック、2008年リーマンでベンチャー氷河期を迎えましたが、ここにきて第4次ベンチャーブームが始まっています。問題は、これを如何に持続していくか、です。

―日本のベンチャーの課題
一つは裾野の狭さです。欧米と比べると開業率、廃業率は低い。そして大きく成長するベンチャーが少ない点です。リスク資金の少なさ、ベンチャー企業を育てるエコシムテムも課題です。

―日本再興戦略 -JAPAN is BACK- (平成25年6月 閣議決定)
アベノミクス第三の矢「成長戦略」として、日本再興戦略が閣議決定されました。民間の力を最大限に引き出し、異次元のスピードでの政策実行、そして成果目標によるPDCAです。特に実行と確認を重視しています。

―新陳代謝とベンチャーの加速
<成果目標>開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベルの開廃業率10%台を目指す
○ベンチャーや新事業創出の担い手及び目利き・支援人材の育成
新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業「Jump Start NIPPON」を設置し、トップ支援者のネットワークとモデル事業を実施しながら、エコシステムを構築しています。
○ エンジェル税制の運用改善
○ 民間企業等によるベンチャー投資の促進
・ 民間企業等の資金を活用したベンチャー投資促進
企業のベンチャー投資促進税制を設け、ハンズオン支援能力のあるファンドを通じてベンチャー企業に資金提供を行う企業に税制優遇します。
・ 産業革新機構による効果的なリスクマネー供給
ベンチャー投資案件を専門に扱う部門を新設、民間VCへのLP出資も行います。
○ クラウド・ファンディング
○ 個人保証制度の見直し
○ 起業家教育
大学・大学院起業家教育ネットワークを強化し、若者にとって「起業」を現実的な選択肢にしていきます。
Ex.「キャンパスベンチャーグランプリ」「高校生ビジネスグランプリ」
○ スピンオフ・カーブアウト支援、オープンイノベーション
大企業とベンチャーの連携、社内ベンチャーやベンチャー的な組織作りを推進していきます。

―産業競争力強化法
日本再興戦略の実行を図るため、「集中実施期間」(5年間)を定め、政府全体で計画的取組を進め(1)実行体制を買う立。分野横断的措置として、(2)規制改革推進のための新たな制度、(3)産業の新陳代謝の促進を図るための制度を創設し、省庁間の垣根を低くしていく。 加えて(4)その他の産業競争力強化関連施策を推進(日本再興戦略に則って競争力強化のために行われる関連施策の特例を規定 等)。

今、世の中へ新しい価値の提供しようとする起業家の志の高さを、私は感じています。それを持続するために前代未聞のスピードで取り組んでいきます。ただ主役は民間の皆様です。ご意見・ご要望をどんどん言って下さい。

<当日講演資料はこちら>

※全文は「THE INDEPENDENTS」2014年2月号 - p18にてご覧いただけます