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「IPOと事業計画」

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株式会社AGSコンサルティング
常務取締役 小原 靖明さん

1985年明治大学大学院法学研究科修了。89年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。07年合併に伴い、当社取締役就任。12年3月より現職。

住所:東京都中央区日本橋室町1-7-1 スルガビル 7F TEL:03-6803-6710
設立:1988年 スタッフ数:157名(公認会計士27名、税理士41名)
事業内容:MS(マネジメント・サービス)、IPO支援、M&A、事業承継 ほか
http://www.agsc.co.jp/

平成25年度末を迎え、アベノミクス効果、円安、株高等の景気回復もあり、当年度の新規上場および上場承認社数は、58社(東京プロ市場含む・2013年11月22日現在)にのぼると予想されております。このような環境の中、インディペンデンツクラブの事業計画発表会は全国各地で毎月開催され、各地の将来性あるベンチャー企業の事業計画が発表されました。コメンテーターとして参加させていただいた所感を若干、記してみたいと思います。

―IPOの準備
一般にIPOの準備としては、「資本政策と事業計画の策定」「コーポレートガバナンスの構築」「ディスクローズ体制の構築」「申請書類等の作成」などが必要であると整理されております。このような準備については、現実のところ、比較的規模の小さいベンチャー企業にとっては、「強弱」「濃淡」があり、上場準備費用を含めて準備の「負荷」にもメリハリがあります。この点についてベンチャー企業の社長の理解が深まっていないが故に、新規上場にトライすることを「躊躇」することが見受けられます。

実際、「資本政策と事業計画の策定」換言すれば、「企業価値の創造とそれを担保する数値計画」以外の準備については、J?SOXにみられるように、時代や経済社会の要請に従って規制が厳しくなったり、緩和されたりを繰り返しております。したがって、経済成長が見えるこの時期においては特にIPO準備に「費用がかかりすぎる」「準備が大変だ」ということで、上場をあきらめるというようなことは考えないで頂きたいと思います。

―事業価値の創造と事業計画
インディペンデンツの事業計画発表会においては、事前に事業概況書、プレゼンテーション資料が配付されます。それをベースに社長が発表しますが、それには一つの傾向が見られます。それは、「ビジネス(モデル)の展開?事業(企業)価値の向上?資本(資金)調達について十分に検討されていない、練りこまれていない」ということです。ビジネス(モデル)の説明は良くされているのですが・・・。

本来、将来上場するのであれば、投資家の最大の関心事である「企業価値」また、その向上性、成長性が十分に説明されてしかるべきです。上場の準備においては、「コーポレートガバナンス」「ディスクローズ」「申請書類」も当然しっかりやるべきものですが、ベンチャー企業の経営者は投資家に向けて、まずは「事業価値の創造」を「事業計画書」により具体的に説明できることが肝要だと思います。

【ベンチャーダイナミズム】第123回事業計画発表会 講評・総括(松田修一)

※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年12月号 - p16にてご覧いただけます