商用EV開発から環境インフラテック企業へ

フォロフライ株式会社 代表取締役 小間 裕康 氏

■環境対応型商用EV開発

 当社は、脱炭素社会の実現に向けて、商用電気自動車(EV)とそれを支えるインフラサービスを提供する環境インフラテック企業です。日本国内のEV普及率は2%未満と、他の主要国に比べて著しく低く、特に商用車分野では「価格の高さ」「航続距離の短さ」「充電インフラの不足」といった課題が普及の妨げとなっています。

■ シェアリングエコノミー的生産方式

 最大の特徴は、既存車体を活用し、設計変更を加える事で従来200億円程度かかる車両開発費を10分の1に抑えた「ファブレス2.0」という革新的な生産方式です。複数の自動車メーカーと開発費や設備をシェアすることで、先端技術の迅速かつ低コストな導入を可能にしています。結果、従来型の車両と比較し、航続距離は200〜300km、価格は3分の1、開発期間は2分の1での提供を実現できました。

■ 商用EVが抱える課題を解決する

 日本のEV普及率は2%程度と、世界の主要国と比較して大幅に遅れています。その主な理由は、「価格が高い」「航続距離が短い」「充電インフラが整っていない」という3点です。フォロフライは、この課題をラストワンマイル(物流における倉庫から自宅への区間)に焦点を当てて解決しています。物流大手SBSホールディングスから1万台の導入が決定されるなど、すでに100社を超える大手クライアントを獲得しています。物流トラックに関しては、政府が2040年までの環境対応車100%化を目標にしており、成長が見込める市場です。
EV普及の課題をフォロフライ社が解決

■ 環境インフラビジネスをエコシステムで展開

 フリートマネジメント、スマート充電、蓄電池システム、バッテリー交換といったインフラ機能もワンストップで提供し、車両単体ではなく“環境対応型移動インフラ”としての価値を提案しています。SBSホールディングスをはじめとする大手物流企業100社以上に導入され、1トンクラスの商用EVバン市場導入においてトップシェアを獲得しています。また、販売についても、丸紅や三菱オートリースなど大手企業と提携、整備体制については三井住友海上が支援する自動車整備業の保険代理店組織であるアドバンスクラブ(AC)と提携し、全国の提携整備工場を「当社認定工場」として育成。開発から納車、保守・管理までを一気通貫で支援するエコシステムを構築しています。さらに、デジタル技術を活用したオンライン注文・部品発送体制を整備し、導入後の運用効率を高めています。
環境インフラビジネスをエコシステムで展開するフォロフライ社

■ 日本市場からグローバル展開へ

 現在は軽自動車や中型トラック、バス、タクシーなどへの展開も進行中であり、日本品質のEVとその周辺インフラを世界に届けるべく、グローバル展開と上場を視野に入れた戦略を推進中です。当社は、EVの本格普及と社会の脱炭素化を支える、次世代の環境インフラテック企業として進化を続けています。

 

 
コメンテーターより
 

 フォロフライ様は、小型・安価でラストワンマイルを走行するような電気自動車をファブレスにより大量生産する取組みをされております。ファブレス企業においては、ライセンスによるパートナーのコントロールが重要となりますが、既に複数の特許出願もされているとのことです。今後は、エコシステムにおける不動のポジションを獲得すべく、更に強い特許ポートフォリオの構築を目指すのはもちろん、例えば、ビジネスモデルやITシステムの特許化等もあり得るでしょう。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 根岸 秀羽 氏



※「The INDEPENDENTS」2025年6月号 - P.8 掲載