<イベントレポート>

2025年3月3日 東京インデペンデンツ
@ SENQ霞が関
+ Zoom ウェビナー配信

■ イベント詳細 https://www.independents.jp/event/758

 

 

特別セッション『投資家の多様性』

パネリスト:(株)FUNDINNO 代表取締役COO 大浦 学 氏、Creww(株) 代表取締役 伊地知 天 氏
モデレーター:インデペンデンツクラブ 代表理事 松本 直人 氏


存在感増すエンジェル投資家


(パネリスト)(株)FUNDINNO 代表取締役COO 大浦 学 氏   (株)FUNDINNO 代表取締役COO 大浦 学 氏

2011年明治大学商学部卒業。
2013年明治大学大学院グローバルビジネス研究科修了。
2015年に(株)日本クラウドキャピタル((株)FUNDINNO)を設立。
代表取締役COOに就任。
2020年情報経営イノベーション専門職大学客員講師就任。
(株)FUNDINNO   (株)FUNDINNO
設 立:2015年11月26日
所在地:東京都港区芝五丁目29番11号
代 表:代表取締役CEO 柴原 祐喜
    代表取締役COO 大浦 学
事業内容:
第一種少額電子募集取扱業務 FUNDINNOの運営業務、第一種金融商品取引業 FUNDINNO MARKETの運営業務、FUNDOORの運営業務


松本:スタートアップが成長するためには、画一的な投資ではなく、様々な観点での投資プレイヤーが増えることが重要だと思います。特に個人(エンジェル)投資家が増えることで、スタートアップの裾野が広がるのではないでしょうか。

大浦:当社は証券会社という立場から、ベンチャー・スタートアップに投資する投資家を見つけるプラットフォームを運営しています。「株式投資型クラウドファンディング(ECF)」として、当初はインターネットを通じた1億円未満・投資家1人50万円までの小口分散型資金調達支援からスタートしました。登録投資家数は15万人に達し、月に1000人ほど増加しています。

増加する大型ファイナンス

大浦:特定投資家向けの「FUNDINNO PLUS+」では特定投資家私募制度(J-ships)を活用することで1口2000万円程度で10億円を集める案件も出てきています。

 最近では2025年1月にメタバース関連の株式会社オッドナンバーが約14億円を調達するなど、過去最高額を記録しました。資金調達の規模は大型化してきており、1社あたりの平均調達額は約3億円となっています。特定投資家の資格要件としては、金融業・大学教授・専門資格保有者などの「特定の知識を有する個人」で、純資産1億円以上または有価証券資産1億円以上または収入金額1000万円以上のいずれかを満たし、有価証券取引経験が1年以上ある方が該当します。現在約1100名の特定投資家が登録しており、月に50〜60名ほど増加しています。

ECFにおけるエンジェル税制の効果

大浦:小口投資家は平均して1口15〜20万円程度、10社ほどに分散投資するケースが多く、思い入れのある企業や使ったことのあるサービスに投資する傾向があります。特定投資家の場合は1口1000万〜1500万円ほどで複数の案件に投資することが一般的で、主に経営者層が多いです。個人投資家の参入を促進する要因として、エンジェル税制の拡充があります。設立5年未満のベンチャー企業に投資した場合、所得税控除や株式譲渡益からの控除が受けられる制度です。最近では優遇措置の上限が20億円まで拡大されるなど、制度も充実してきています。

スタートアップへの投資額を5年で10倍に必要な投資家の多様性

松本:米国のベンチャー投資市場は日本の約50倍の規模を誇っています。投資残高10兆円規模を目指し、日本政府は「スタートアップ育成5か年計画」を策定しました。

大浦:株式投資型クラウドファンディングの活用促進や特定投資家私募制度の見直しなどが進められ、スタートアップへのエンジェル市場の拡大が期待されています。私どもは、資金調達の支援だけでなく、成長支援のための人材事業にも乗り出すなど、入口(資金調達)、成長、出口という循環サイクルを創出し、エコシステム全体の発展を目指していきます。

FUNDINNO FUNDNNOPLUSについて

 

CVCの投資促進と事業連携


(パネリスト)Creww(株) 代表取締役 伊地知 天 氏   Creww(株) 代表取締役 伊地知 天 氏

15歳単身渡米、21歳の時に日本、アメリカで大学在学中に起業。アメリカで立ち上げた会
社は米企業へ売却。フィリピンで創業した会社も創業3年で売却。その後Crewwを創業。
スタートアップエコシステムの再構築を目指して邁進中。
Creww(株)   Creww(株)
設 立:2012年8月13日
所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目19-9 第一暁ビル 4F
資本金:10億8455万円(その他資本剰余金含む)
代 表:代表取締役 伊地知 天
事業内容:CVC支援
URL:https://creww.in


松本:Creww社は「大挑戦時代をつくる」をビジョンに掲げ、2012年からオープンイノベーションのプラットフォームを運営しています。昨年「Creww Capital」を設立し、CVCの運営支援を開始し、事業会社の投資を促進していきます。

伊地知:CVCについては、事業連携が最大の課題となっています。事業連携のコツは、お互いからヒアリングしながら複数の協業案を出し、優先順位を決めていくことです。既存のCVCからは「投資はしたけど事業連携のところでシナジーが作れなくて困っている」という相談が多く寄せられ、投資だけでなく事業連携を見据えた運営が求められています。

日本のスタートアップ市場のグローバル化

伊地知:Creww社はグローバル展開も積極的に進めており、韓国・台湾・スペインなど海外との連携を強化しています。特にレアル・マドリードとはアジア向けアクセラレータープログラムの独占契約を結び、アジアから新しいテクノロジーを発掘する取り組みを行っています。日本のスタートアップエコシステムが次のステージに行くには、グローバル化が課題です。

 日本のスタートアップが海外の投資家から資金調達できること、また日本の投資家が海外のスタートアップに投資していくことが重要だと考えています。AIを活用した翻訳技術の進化により、日本のスタートアップが言葉の壁を気にせず、海外の投資家や顧客を見つけられるプラットフォームにしていきたいです。

 国際展開はこれからのスタートアップにとって不可欠な要素です。言語の壁は低くなってきており、AIを活用して、日本の事業会社と海外のスタートアップの連携や、日本のスタートアップと海外の投資家をつなぐ取り組みを強化していきます。
Crewwのオープンイノベーションサービス


※「THE INDEPENDENTS」2025年4月号 P.6-7 より
※ イベント開催時点での情報です