分離膜技術でカーボンニュートラル化学品リサイクル市場を確立する

イーセップ株式会社 代表取締役社長 澤村 健一 氏

■ ナノセラミック分離膜技術

 当社は化学プラント向けに分離膜及び、膜分離システムの設計が開発してきました。コア技術であるナノセラミック分離膜は、分子レベルでの精密な分離が可能です。シリカ系やゼオライト系の技術を応用し、従来の分離技術では実現できなかった高い分離性・透過性・耐久性を兼ね備えています。
ナノセラミック分離膜とは

■ 溶剤リサイクルで環境・エコに貢献

 使用済み溶剤のリサイクル率は従来10%以下と低く、大量の廃棄が発生していました。当社の分離膜技術を活用することで、溶剤の高効率リサイクルが可能になり、コスト削減と環境負荷の軽減を両立します。例えば、半導体やポリマー産業で使用されるNMP、アルコール、有機酸などの溶剤リサイクルへの展開が期待されています。

使用済み溶剤のリサイクルの課題とソリューション

 

■ メタノール合成膜反応器でエネルギー効率を最大化

 従来のメタノール合成では、逆反応によるロスが発生し、収率が20%程度にとどまっていました。しかし、当社の膜技術を活用することで、メタノールと水を効率的に分離し、収率を70%以上に向上させることが可能になります。これにより、カーボンニュートラル(CN)メタノールの実用化が進み、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献します。

メタノール合成の課題とソリューション

 

■ 分離膜技術の市場拡大と持続可能な未来への挑戦

 当社はこれらの技術を活用し、国内外の化学プラントやエネルギー分野へ事業展開を加速します。また、CNメタノールの開発を通じて、水素キャリアやe-fuel(合成燃料)市場への参入を進めます。資金調達も積極的に進めており、セラミック分離膜の量産体制を構築中。さらに、「SUISO no MORI Hub」への入居を通じて、水素エネルギー分野での連携を強化し、持続可能な未来の実現に向けて挑戦を続けます。

コメンテーターより・・・

 

 溶剤の処理・回収・リサイクルの難しさやエネルギーとしてのメタノール有効活用といった環境に関する社会課題解決に取り組まれてきたことにはとても意義があると思っています。
 量産化までもう少し、技術的にも実用化は近いと感じておりますので、今後の動向に注目しています。

 株式会社AGSコンサルティング 京都支社長 世取山 大輔 氏

 
※ 2025年2月21日「京都インデペンデンツ」事業計画発表会 登壇時の情報です。