株式会社KNiT 代表取締役 窪内 将隆 氏
 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏

AI画像解析サービス「GeXeL」

窪内:私自身が研究者時代に、電子顕微鏡から得る画像に対して粒子数やその大きさを一つずつモノサシを使って計測していたという苦労と膨大な作業時間を何とか改善したいという発想から、AI画像解析を用いた研究開発向けクラウドサービス「GeXeL(ジグセル)」を開発しました。化学業界、食品業界、医療/美容業界では、粉体分析、細胞解析、肌解析など研究者の単純作業の90%を「GeXeL」で削減でき、研究者本来の仕事である創造的事業に集中できます。

鮫島:これは大変画期的なサービスです。私も前職の技術者だった時代にぜひ利用してルーティンワークから解放されたかった。しかし一方で技術者以外の一般の方や投資家にはその凄さが伝わりにくいと感じます。

窪内:「GeXeL」は人件費や解析コストの削減効果だけでなく、客観的データに基づいた品質管理による製品品質の向上にも応用できるので、製造業全体に広く普及させていきたいと考えています。
特許請求や実施例で定量的なデータを提示できるようになったという声も頂いています。「GeXeL」はSEM画像など様々な画像に対応しており、研究開発部門だけでなく工場の品質管理にも応用できます。

鮫島:特許の分野においても粒径の範囲を特定する際に画像解析による定量化ができれば、明確な立証が可能になるケースが増えると思います。

競合の存在とビジネスモデル特許取得の可能性

鮫島:競合についてはどう考えていますか。

窪内:AI技術の進化は速いため、競合出現の可能性は否定できません。しかし、製造業では一度導入されたシステムは長期間使用される傾向があり、先にシェアを獲得することが重要です。「GeXeL」は精度だけでなく、解析データの蓄積と活用にも力を入れています。将来的には、蓄積されたデータを用いた新たなサービス展開も視野に入れています。

鮫島:それに関してはビジネスモデル特許を取得する事で、競争優位性が築けると感じます。Amazonのワンクリック特許のように貴社のビジネスモデルも、画像解析に加えてUI/UXを向上させる仕組みやデータ学習のノウハウなど、特許取得の可能性を探る余地は十分にあると思います。

窪内:「GeXeL」のコアとなる競争力はデータ学習とスピードです。データ処理のノウハウがベースとなっていますが、特許で保護すべきか判断が難しいところです。であればビジネスモデル特許についても検討したいと考えます。

鮫島:貴社は技術的な特許をいくつか取得済みですが、ディープテック分野においてビジネスモデル特許を取得することはIPOを目指す上でも重要な要素となるでしょう。


―「THE INDEPENDENTS」2025年1月号 P.14より

※冊子掲載時点での情報です
 
 

 
株式会社KNiT 代表取締役 窪内 将隆 氏   <話し手>
株式会社KNiT 代表取締役 窪内 将隆 氏
(→ イベント登壇情報
 
生年月日:1988年8月12日
東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻 博士後期課程修了
2017年4月に産業技術総合研究所にポスドクとして勤務
2018年4月に堺化学株式会社に入社。2023年7月に退社。
 
株式会社KNiT
設 立:2023年12月1日
所在地:大阪府大阪市中央区南本町2-1-1本町サザンビルTDフロア1F
資本金:6,000千円
事業内容:AIを用いた画像解析サービス「GeXeL(ジクセル)」、
     研究者・技術者の為の新しいAI画像解析


弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表弁護士 鮫島 正洋 氏    <聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。