「陸上養殖と有機栽培を一緒に実現する循環農業<アクアポニックス>」
<起業家インタビュー>
― 魚を養殖しながら有機栽培農作物を生産
当社は循環型農法「アクアポニックス」を活用した陸上養殖と有機栽培を行っています。「アクアポニックス」は、魚を育てながら排泄物を肥料として植物を育てるシステムで、水を循環させることで環境負荷を抑えられます。新潟県長岡市の施設でこのシステムを実証し、独自改良の技術で安定稼働を実現しました。現在では、 チョウザメの養殖とキャビアの生産 にも成功し、「フィッシュベジ」 というブランドでシステムの販売やフランチャイズ展開を進めています。さらに、液肥を濃縮した肥料販売など、事業を拡大しています。プラントフォームの取り組みは、日本の有機農業の課題解決に貢献し、将来的には世界的な食料不足問題の解決にも貢献することを目指しています。
― 長岡市の強力なスタートアップ支援
元々、私は新潟県の長岡市で雪や外気など自然エネルギーを活用してIT機器・データセンターを冷却する事業を行っていました。その際、データセンターの余熱を活用できないかと考え、食糧生産に着目しました。そこで新しい食糧生産のモデルについてのリサーチを行った結果、アクアポニックスという技術を知り、国内の第一人者として研究を行うワイコフ氏の埼玉研究者を訪ね、説得に2年かかりましたが、2018年にワイコフ氏と株式会社プラントフォームを共同創業しました。とはいえ、まだ実験段階であり、陸上養殖としての生物の選定や植物工場で作る生産物の選定など綿密に準備を重ね、約5年の月日を経て技術検証・工場の実証を成功させました。長岡市からは設立時から補助金だけでなく多くの支援を受けており、長岡の代表的なスタートアップとして地方都市での地方創生の成功モデルになる事を目指しています。
― 水耕栽培でありながら有機栽培を実現する植物工場
当社最大の強みは、植物工場として有機水耕栽培を大量・安定的に行うことができるシステムを開発したという点です。他の植物工場と比較して完全な有機栽培のシステムであるため、付加価値の高い農産物を市場に供給することができます。有機栽培に必要な肥料は流通の仕組みがないため調達が非常に難しいですが、当社の「アクアポニックス」システムでは養殖魚の排出物が有機肥料となり、かつ植物工場との循環で水を入れ替えることなく養殖を行う仕組みを実現しています。さらに陸上養殖においてはキャビアなど高付加価値高い商品を生産しています。
― コメの植物工場で食料自給率改善を
今後は稼働システムの外部販売と、運営オペレーション提供による収益化を実現させていきます。現在はプラントの建設に3億円弱の費用がかかるため、中小企業でも導入可能な小規模高収益のモデル開発にも取り組んでいます。さらに、水と生物、バクテリアのバランスが重要であるため厳しい立地条件などは存在せず、電気代も大幅に削減でき、循環型であるため水の使用量も少なく、ランニングコストが抑えられます。また、従来の農業と異なり通年で収穫期があるため、雇用が安定的に発生し、障害者雇用といった社会課題の解決にも貢献することができます。
現在食糧工場で生産している農産物はレタスがメインですが、エディブルフラワーやイチゴの栽培にも取り組んでおり、将来的には「コメ」の生産も実現していき、日本の食料自給率の課題に対するクリティカルな解決策となる新しい食糧生産モデルを確立したいと考えています。
interviewed by kips 2024.11.14
【株式会社プラントフォーム】 (→イベント登壇情報)
設 立:2018年7月24日
所在地:新潟県長岡市上前島1-1863
資本金:50,000千円(株主:経営陣、VC)
役 員:(代)山本祐二、ワイコフ尚江
事業内容:「アクアポニックス」参入支援事業。直営プラントの運営
従業員:18名
【代表者略歴】 株式会社プラントフォーム
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※「THE INDEPENDENTS」2024年12月号 - P.2-3より
株式会社プラントフォーム
- 住所
- 新潟県長岡市上前島1-1863
- 代表者
- 代表取締役 CEO 山本 祐二
- 設立
- 2018年7月24日
- 資本金
- 5,000万円(資本準備金を除く)
- 従業員数
- 18名
- 事業内容
- 植物工場型アクアポニックスプラントの企画・設計・施工、アクアポニックスプラントの運営サポートサービス、アクアポニックス野菜の生産と販売
- URL
- https://www.plantform.co.jp/
- 情報更新日
- 2024年11月27日
※上記は、情報更新日時点での情報です。