デジタル歯科技工のプラットフォームをアジアへ

ENTECH株式会社 代表取締役 吉井 誠 氏

■ 事業背景
日本の歯科技工業界は、深刻な人材不足、技術格差、複雑な業務プロセス、低い賃金と待遇など多くの課題に直面しています。一方で歯科用CAD/CAMや口腔内スキャナーの普及が進んでいます。私は歯科技工士として20年働いた経験を活かして歯科技工システムの開発運営を行うため2024年5月に創業しました。デジタル技術を駆使した歯科技工プラットフォームを構築し、口腔内スキャナーを持つ世界中の歯科医院と連携。高品質な歯科技工物を迅速に提供し、国内市場では地方都市への浸透を図り、海外市場ではアジア・まずはインドを中心に事業を展開していきます。

■「DENTAL REVOLUTION(プラットフォーム)」
歯科医院は口腔内スキャンデータと指示書をアップロードし、歯科技工所はデジタル設計・出力を行い完成した技工物を発送する歯科医院と歯科技工所を繋ぐサブスクモデルのプラットフォームです。場所の制限をなくし、あらゆる無駄を排除し、歯科技工業界に新たな働き方を提供し持続的な成長を支援します。他には、町の小さな歯科医院向けライトなサービス「阿吽」の提供や、デジタル歯科技工のオンライン学習サービスである「ACADEMY」の提供も予定しています。

■ 今後の展開
「DENTAL REVOLUTION」のアジア展開、デジタル歯工のデジタルデータAI活用、顧客が自分で口腔内をスキャンするセルフホワイトニングサービス(株式会社有斐閣との業務提携)など、新たな事業展開を計画しています。歯科技工革命を起こすというビジョンのもと、当社は「ひろしまユニコ-ン10」にも選ばれ、「DENTAL REVOLUTION」を通じて、日本国内だけでなくアジア諸国における歯科技工のデジタル化と医療格差の解消を目指しています。

 

 
 
コメンテーターより・・・
 

 世界的に長寿化が進む中で、歯の維持は、QOLの維持に密接に関連している。にもかかわらず、我が国においては歯科技工士が減少している。そういった状況下で、ENTECH株式会社は、優秀な歯科技工士の技術・ノウハウを維持し、当該歯科技工士に、海外で活躍する市場を創出し、同時に海外の患者にも高い技術を提供するという野心的な試みを行うものである。上記ノウハウの保護と共に、海外市場の独自の法規制、商習慣等を克服し事業を成功させて欲しい。

 弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 宅間 仁志 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2024年12月号 - P.12 掲載