世界の水資源問題解決を目指す長岡技大発ベンチャー

AQVANA(アクアナ)株式会社 代表取締役 ヌル・アデリン・ビンティ・アブ・バカル 氏

 当社は、長岡技術科学大学発ベンチャーとして、次世代完全循環型陸上養殖システムを開発しています。代表のヌルアデリンアブバカルをヌルアデリンは長岡技術科学大学で環境システム工学を専攻し、博士課程を経て現在は助教授として勤務しながら2024年7月に起業に至りました。

 主力製品は、大量の水交換を必要としない低メンテナンスの陸上養殖システムです。システムは、硝化反応と脱窒素反応を行うバイオリアクターを組み合わせることで、養殖水槽内のアンモニア濃度を低く保ちます。これにより、当社のシステムは微生物の力を活用しているため、競合他社の水処理技術と比較してフィルター交換の頻度を大幅に減らし、維持管理コストを抑えています。また、このシステムは災害時の生活用水確保のための水処理装置としても活用できます。実際に、能登半島地震では高齢者施設で当社の装置が使用されました。

 海外展開においては、清潔な水の安定供給に課題を抱える地域の市場に大きな可能性を見出しています。現在、マレーシアのマラッカ技術大学との共同研究を進めており、現地のガソリンスタンドなどでの実証実験を予定しています。

 今後は、まず国内外での陸上養殖市場やペットショップを対象とし、その後防災商品としての展開を計画しています。

 

 

 

 
コメンテーターより・・・
 

 

 世界的に陸上養殖のニーズは増え続けており、水替えの少なさは低コストかつ水資源保護に繋がります。特に水不足地域では良いソリューションとなり、都市部の中水利用も需要が高いでしょう。

 ただし、優れた水処理技術は数多く存在するため、貴社の技術が圧倒的な強みを持つ分野・地域を特定し、進出することが重要と考えます。

 代表のヌルアデリン氏はマレーシア出身で、日本で博士号とMBAを取得されており、貴社の海外展開と今後の成長に期待しています。

国立大学法人 長岡技術科学大学技術科学イノベーション系 特任准教授 / 株式会社amidex 代表取締役CEO 伊原 晃 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2024年11月号 - P.11 掲載