循環型農法「アクアポニックス」で、キャビアの陸上養殖と有機栽培を実現

株式会社プラントフォーム 代表取締役CEO 山本 祐二 氏

 アクアポニックスは、陸上養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型の農業システムです。養殖魚の排泄物を肥料として植物を育て、植物が栄養を吸収することで水が浄化され、水を再び養殖水槽に戻すという、環境負荷の低い仕組みです。当社の長岡市のプラントでは5年間水を交換せずに運用を続けており、このシステムの実現可能性を実証済みです。また、これまでシステムの仕組上、アクアポニックスは生産量が不安定になりやすく、植物工場として機能させるのは難しいとされてきましたが、当社は独自に技術を確立し、植物工場として機能させることに成功しています。(特許取得済)これにより、年間を通じて安定した生産と出荷を実現し、イオンなどの大手小売店との直接取引を実現しています。

 2023年にはチョウザメの養殖とキャビアの生産販売に成功しました。これは新潟県産としても初めての実績であり、グラム単価1000円の高級食材として販売しています。販売面では「フィッシュベジ」というブランドを立ち上げ、システム販売と合わせてフランチャイズ展開を進めています。また、新たな事業展開として、アクアポニックスで得られる液肥を抽出&濃縮した肥料の販売を目指しています。

 当社は、日本が直面している農業の課題解決への貢献を目指しています。日本の有機栽培の耕地面積率はわずか0.5%と世界的に見ても非常に低い水準にあり、現農業は化学肥料に依存しています。その中で化学肥料の輸入依存度は99.9%に達しており、近い将来肥料が手に入らないために農業が行えないという危機が訪れようとしています。このような社会情勢の中、有機栽培が可能なアクアポニックスは、これらの課題に対する解決策として期待できます。

 今後は、国内市場だけでなく、グローバル展開も視野に入れています。世界的な人口増加に伴う食料不足の問題に対し、持続可能な食料生産モデルとしてアクアポニックスを提案し、日本発の技術で世界市場に挑戦します。

 

 

     

導入実績:
SMBC様の丸の内本店に国内最大の展示用アクアポニックスを常設展示
(生産野菜は社内食堂等で提供中)

 

 

コメンテーターより・・・
 

 プラントフォーム様曰く、陸上養殖と水耕栽培を同時に行う循環型農業(アクアポニックス)の大きな課題は、プラントの安定性にあるとのことです。プラントフォーム様の強みは、プラントの安定稼働技術にあり、その強みについては特許化済みとのことですので、まずは基本特許の取得を完了している状況にあります。

 一方で、今後は、様々な相手と、多種多様なコラボレーションを行っていくことが予期されます。コラボレーションの過程で生じた成果を用いて、更なる社会実装を進めていただくことを心より応援しております。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 奈良 大地 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2024年11月号 - P.10 掲載