アイキャッチ

「スマイル・プラスの上場戦略」

公開


株式会社AGSコンサルティング
常務取締役 小原 靖明さん

1985年明治大学大学院法学研究科修了。89年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。07年合併に伴い、当社取締役就任。12年3月より現職。

住所:東京都中央区日本橋室町1-7-1 スルガビル 7F TEL:03-6803-6710
設立:1988年 スタッフ数:157名(公認会計士27名、税理士41名)
事業内容:MS(マネジメント・サービス)、IPO支援、M&A、事業承継 ほか
http://www.agsc.co.jp/

伊藤 一彦 氏(スマイル・プラス株式会社 代表取締役/営業創造株式会社 代表取締役)
小原 靖明 氏(株式会社AGSコンサルティング 常務取締役)

小原:株式上場の目標時期について教えて下さい。
伊藤:将来上場できる会社をつくりたいという思いから、2002年に営業創造を設立しました。2009年に上場することを目標にしておりましたが、まさに上場準備に入る2008年後半のリーマンショックの影響から赤字決算となりました。その際に、従業員と十分話し合い、経営陣の役員報酬カット、全従業員に給与10%カットを理解してもらい、苦境を乗り切りました。従業員の給与を下げてまで上場する意味はないと考えておりましたので、従業員には「給与を元の水準に戻せるまでは上場準備は一切しない」ことを約束し、2011年までは上場についての発言も控えておりました。幸いなことに、2012年9月期には従業員の給与を元の水準に戻せた上で利益も確保することができましたので、改めて社内および社外に対して、上場へ向けてアクセルを踏んでいくことを発信していくタイミングと考えております。

小原:上場へ向けて内部環境は整ったということですね。2013年は経済が少し動き始めたと思います。
伊藤:外部環境は急激に良くなったと感じております。営業創造はIT関連の営業派遣をメインにしておりますが、既存のお客様からは増員のご依頼を頂き、リーマンショック前を超える水準で推移しております。また、2012年に当社グループに迎えたスマイル・プラスについてもたくさんの企業様からお声掛けを頂き大きく発展しております。

小原:営業創造の経験を生かしてスマイル・プラスをどのように育てていくのかが大事だと思います。
伊藤:営業創造の事業は安定感があり、リーマンショック時にも売上の落ち込みは限定的でした。ただ、その一方で将来の上場へ向けて費用を積んでいた時期でもありました。そのような反省から、上場へ向けて身の丈に合った費用と伸ばしていく売上について適切に見極めながら育てていきたいと考えております。

小原:スマイル・プラスの事業が軌道に乗る期間はどのくらいを想定されていますか。
伊藤:上場する際に必要とされる売上を達成するまでに長くても3年、短くて2年という期間を想定しております。従来はレクリエーションという観点でたくさんの介護施設様に関わってきましたが、今後は求人および研修という、人をどう育成するのか、人をどう集めるのかという介護業界共通の課題を解決するための事業を、スピード感をもって進めていこうと考えております。

小原:介護業界においては行政との関係が重要であると考えられます。
伊藤:非常に有り難いことに、弊社Webサイト「介護レク広場」というものは大阪府からの助成金を受け立ち上げたもので、この2年間順調に成長してきました。スマイル・プラスの事業が非常に社会貢献的な意味合いが強い事業でありますので、大阪府、大阪市、経済産業省等の各行政機関の皆様からも多大なるご支援を頂いており、これが当社の強みであると考えております。

小原:最後に社長の企業観、信念についてお聞かせ下さい。
伊藤:「かっこつけず、品良く」という言葉を胸に刻んで経営を続けています。私は27歳で独立をして以来、11年間社長業をしておりますが、起業当初は正直憧れに近いような思いで上場を目指しておりました。ただ11年間経営者としてやってきて感じることは、この国にはもっとベンチャー企業が生まれ、新しい市場が創造されなければならないと思っております。そのためには手本となれるような会社が大事だと考えます。これから独立する方々の手本となるような企業家になるべく、上場という1つのハードルを越えたいと思っております。
小原:多くの企業に上場して頂いて、次のハードルに挑戦して頂きたいと思います。是非頑張って下さい。

【注目の企業紹介】 Webサイト「介護レク広場」

※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年4月号 - p17にてご覧いただけます