ロボットハンドツール「ラティス構造柔軟指」で人間の指のような柔軟性を実現する

KiQ Robotics株式会社 代表取締役 滝本 隆 氏

 私たちは、産業用ロボットハンドの「指」の変革を目指している会社です。2019年に北九州工業高等専門学校と九州工業大学の教員によって設立され、「北九州からロボット産業を盛り上げる」という思いを込めて「KiQ(キック)」と名付けました。

 「ラティス構造柔軟指」は、固い素材をメッシュ状(ラティス構造)にすることで、人間の指のような柔軟性を実現する技術です。この柔軟性により、ロボットは様々な形状や大きさの物体を、過度な力をかけずに安全に把持できるようになりました。

 ターゲット市場は、製造業・物流・食品・農林水産・サービス業でのピッキング作業の自動化・省人化であり、トヨタ自動車の製造ラインなど60社の導入事例があります。

 保有特許は、「ロボットアームの把持装置及びこれを用いたロボットアーム」(特許:6883907)「ロボットハンド装置及びそれに用いられる把持手段」(特許:6883908)「把持装置」(特許:6982922)「ロボットシステム、把持制御方法、把持制御プログラム、及び、記録媒体」(特許:7074386)などで、競合差別化、特に海外展開に関して模倣品対策として知財戦略を強化していきます。

 現在、オンライン販売を行っていますが、今後は事業会社との共同開発を進めていきます。AI活用による自動設計と、3Dプリンターによる製造能力を高め、より幅広い用途に対して迅速な市場投入を目指していきます。

 

 

     

 

コメンテーターより・・・
 

 

 KiQ Robotics様が解決しようとしている「対象物の安定な把持」については、世界中で生じる課題である一方で、「ラティス構造柔軟指」は、他社が比較的簡単に入手し、分析しやすいものであるといえ、模倣品対策が特に必要となるであろうと思われます。

 そこで、特許権を取得しつつ、ノウハウとして秘匿すべき部分は秘匿するとの戦略が考えられます。事業計画発表会にて、貴社は、いくつかの特許権を取得済みであり、かつ、貴社には、ラティス構造柔軟指の製造についての重要なノウハウが存在すると伺っております。このノウハウをしっかり管理・保護して、事業を拡大することを期待しています。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 奈良 大地 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2024年11月号 - P.9 掲載