「特別講演『東北大学のスタートアップ支援の取組について』」
<イベントレポート>
2024年7月1日 インデペンデンツクラブ月例会
@ TiB(Tokyo Innovation Base)
+ Zoom ウェビナー配信
■ イベント詳細 https://www.independents.jp/monthly-event/731
特別講演 レポート
■東北大学のスタートアップ支援の取り組みと実績
東北大学は、現在(2024年7月1日)まで199社のスタートアップを輩出し、IPOやM&Aを果たした企業もあります。特に素材・材料、エレキ・デバイス、医療・バイオなどのディープテック分野に強みがあります。また、東北大学ベンチャーパートナーズを通じて投資を行い、仙台市や宮城県、NTTグループと連携して「SENDAI STARTUP CAMPUS」構想を推進するなど、東北大学は多面的なスタートアップ支援を通じて、研究成果の社会還元と地域の経済発展に貢献することを目指しています。
■ナノテラスと共創研究所
次世代放射光施設「ナノテラス」が東北大学青葉山キャンパス内に整備され、2024年4月に稼働を開始しました。ナノテラスは太陽光の10倍の明るさを持つ光で物質の内部や表面の構造を詳細に観察でき、幅広い分野での最先端研究を可能とします。特に新素材の開発や新薬の創出、ナノテクノロジーの進展に寄与します。また、企業間でのオープンイノベーションの拠点として機能し、研究開発のスピードと効率を向上させることで、スタートアップ企業の育成や新技術の市場導入を加速させます。
また、東北大学は企業と連携して「共創研究所」を設立し、企業の研究活動拠点をキャンパス内に設置しています。この取り組みは2021年に始まり、現在までに30拠点が設立され、大企業だけでなくスタートアップも参加しています。また、サイエンスパーク事業を通じて研究施設やスタートアップの拠点を整備し、産学連携を強化しています。
■シームレスなスタートアップ支援システム
東北大学は、独自のスタートアップ支援システムを構築し、起業前後の各段階に応じた支援を提供しています。まず、アントレプレナーシップの育成プログラムを通じて、研究者や学生に起業家精神を醸成しています。ビジネスコンテストやセミナーなどのイベントを開催し、起業に対する関心と知識を深める機会を提供しています。次に、事業性検証支援として、研究成果の事業化に向けたギャップファンドを提供し、起業準備資金を支援しています。これまでに100件以上の支援を行い、その中から30社以上のスタートアップを創出しました。さらに、起業後の成長支援として、東北大学100%出資のベンチャーキャピタル「東北大学ベンチャーパートナーズ」がスタートアップに対する投資を行っています。現在、1号ファンドと2号ファンドを運用しており、これまでに45社への投資を実施し、その中からIPOを果たした企業もあります。
■SENDAI STARTUP CAMPUS構想
SENDAI STARTUP CAMPUS構想は、東北大学、仙台市、宮城県、NTTグループが連携し、仙台都市圏をスタートアップの拠点として整備する取り組みです。この構想のもと、東北大学の各キャンパスにスタートアップ支援拠点を設置し、それぞれのキャンパスの特色を活かした支援を行っています。仙台駅近くにはNTTグループが設置したイノベーション拠点があり、スタートアップが活動できるコワーキングスペースや起業相談窓口を整備しています。また、東北大学は国内外のリーディング大学との連携を強化し、アントレプレナーシップ教育やスタートアップ支援プログラムを提供しています。
■国際卓越研究大学への取り組み
東北大学は、「国際卓越研究大学」として世界トップクラスの研究大学を目指しており、研究・教育・ガバナンスの抜本的な改革を進めています。国際卓越研究大学に認定されることで、日本政府による10兆円規模の大学ファンドの運用益から助成金を受け取ることができます。2023年9月に唯一の認定候補となり、2024年6月に認定のための全ての条件をクリアしたという発表を受けて、今後の正式認定に向けた準備を行っています。国際卓越研究大学の認定のための申請計画では、25年間で200箇所の産学共創拠点の設置と1500社のスタートアップを創出する目標を掲げています。そのために、独自の支援基金の活用や東北大学ベンチャーパートナーズとの連携を強化していきます。さらに、国内外のリーディング大学や企業との連携を通じて、グローバルなスタートアップエコシステムを構築していきます。
※「THE INDEPENDENTS」2024年8月号 P.6-7より
※ 冊子掲載時点での情報です
国立大学法人東北大学
- 住所
- 宮城県青葉区片平2-1-1
- 代表者
- 設立
- 資本金
- 従業員数
- 事業内容
- URL
- https://www.tohoku.ac.jp/japanese/