細胞・微生物×マイクロ流路×ドロップレットでイノベーションを起こし、人類と地球の共存を実現する

株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 代表取締役社長 小林 雅之

 

当社はマイクロ流路チップを用いたセルソーター(細胞解析・分離装置)を世界に先駆け開発したベンチャー企業です。セルソーターとは1秒間に数百から数千の細胞を解析し特定の細胞を分離する装置です。従来のセルソーターは細胞にダメージを与えるものでしたが、当社は、マイクロ流路中で細胞を解析・分離する独自技術(当社特許技術)を採用することによって、細胞ダメージフリーを実現しています。

当社技術のもう一つの特長が、油中水滴を解析・分離できることです。簡単に大量のサイズ均一な油中水滴を作り出す装置も販売しています。これらによって超高速な微生物スクリーニングが可能となります。微生物が一個ずつ入った大量に作り出した油中水滴を微小な試験管の代わりに用います。油中水滴は数週間安定なので、培養や反応を待つことが出来ます。培養後の百万個の油中水滴を1時間程度で解析・選別できます。

微生物スクリーニングは、マイクロ・プレートを用いる方法がスタンダード技術です。これに対して油中水滴等Dropletを用いる当社の技術は、対応可能はサンプル数が100倍の100万個、、人手や時間は1/10となり、1000倍の効率化が可能です

これが可能な当社の開発製品On-chip Droplet Selectorは、2024年4月に中小企業優秀新技術・新製品賞 中小企業長官賞を受賞しました。

 

地球上に存在する微生物のうち、99.9%が未知のものです。既知の0.1%の活用によってこれまでに様々な人類の生活、健康、経済活動に活用されています。人類の地球との共存、地球環境の維持と持続的経済発展のためには、有限の化石資源でなく、再生産できる細胞、微生物による物質生産が求められています。

大手企業や他の微生物ベンチャーと協業することで、微生物スクリーニングに革新をもたらし、細胞、微生物による物質生産を加速させ、地球の健康に貢献していきます。

 

 

コメンテーターより・・・
 

 元々技術者ではなかった社長(ベンチャーキャピタリスト)が、20年近く渡りバイオ関連技術のベンチャー企業を率いてきたことに まずは敬意を表したいと思います。「資本政策」からその苦労が読み取れます。

貴社の技術は従来のセルソーターが細胞にダメージを与えるものであったのをダメージフリーにし、油中水滴を解析・分離することが出来ることにより、微生物スクリーニングでは圧倒的な効率化を可能にしています。

事業計画発表会でも確認しましたが、国内市場規模もそれ程大きくないため、なるべく早い時期に海外展開を図り、これまでの苦労に報いるためにも IPOを果たすことを期待しています。


株式会社AGSコンサルティング 顧問 小原 靖明 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2024年8月号 - P.9 掲載