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「先駆的な技術を活用したビジネスモデルと知財戦略」

株式会社ゼロワン 代表取締役 内山 隆史 氏
 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏


鮫島:この度はインデペンデンツクラブ地域大賞の受賞おめでとうございます。改めて事業の説明をお願いします。

内山:ありがとうございます。当社はデジタルツイン(バーチャルとリアル空間の融合)とIoT技術を活用して、施設内の環境や設備状況、働く人の位置情報などをデバイス上でリアルタイムにモニタリング可能にするプロダクトの開発・販売をしています。デジタルツイン技術はアメリカの会社からソフトウェアとスキャナーの提供を受け、IoTの仕組みとして環境センサーを自社で開発して組み合わせています。

鮫島:クリニック・病院・高齢者施設向けにプロダクト化し複数施設へサービス提供をしています。

内山:病院向けサービス「no-miz」では、天井センサーで把握した院内の人の位置情報や空気状態、人流ヒートマップなどをデジタルツイン上にプロットすることで、清掃の効率化や混雑状況の可視化などに役立てることができます。現在開発中のVer2では、アクチュエーターと連携することで院内環境の最適化を実現することが可能です。
実はno-mizは病院向けとして開発しましたが、コワーキングスペースやフィットネスクラブなど、異なる市場での引き合いも増加しています。


内山:現在はより広い面積である工場への導入に着手しています。製造業の課題として頻繁な製造ライン停止及びその復旧、ヒヤリハット削減があります。これらを解決するために、デジタルツイン技術を活用したモニタリングソリューションを提供します。

鮫島:工場にとって大きな需要がある技術だと感じていますが、導入における費用体系と設置までの期間について教えてください。

内山:2000㎡の金属加工工場を例にすると、導入費用として工事費込みで1000万から2000万円、システム利用料として月額20万円〜を予定しています。設置までの期間としては現在最短4ヶ月ほどかかりますが、今後体制を整えていくことで1.5ヶ月程度まで短縮することを目標としています。

鮫島:デジタルツインというキーワードは非常に注目されているのですが、これをビジネスモデル化している例は世界的にも多くないと感じています。このビジネスにおいて競合状況を教えてください。

内山:デジタルツインはアメリカの会社からソフトウェアとスキャナーを提供してもらっており、IoTの仕組みとしての環境センサーや、リアルタイム連携および制御技術は自社開発です。より高級なスキャナーを用いてシミュレーションに使う例はありますが、当社のように使いやすい形で提供している例は数少ないです。競合に関しては海外企業で工場の可視化に着手している例は聞いたことがあるのですが、当社はソリューションの中身に大きな違いがあります。

鮫島:テスト導入に関しては浜松市内の工場で行っているのですか。

内山:今年秋から浜松市内の工場でPoCを開始し、来年には県外や海外工場でのテスト導入も予定しています。浜松は歴史ある企業が多く製造業に対する課題も強く感じています。

鮫島:浜松のスタートアップ同士で連携して課題解決できそうですね。そのような連携は町としてのブランディング効果ともなりますし、ソリューションのレベルを上げることも可能だと思います。

鮫島:特許に関してはどのような戦略を取っていますか。

内山:積極的に国内外で出願していく方針であり、病院向けのソリューションは日・米・台湾で特許を出願しています。台湾を選択した理由は公衆衛生への意識が高く、新型コロナの際の対応を見て医療とITへの感度が高いと感じたからです。

鮫島:事例を作ることは先駆者の特権で、戦う土俵を決めることができるということですから、事業で勝てる確率が高くなります。新市場創造型標準化制度(METI)という、中小企業・スタートアップのための補助制度が活用できそうですね。

 

―「THE INDEPENDENTS」2024年7月号 P.8より

※冊子掲載時点での情報です
 
 

 
  <話し手>
株式会社ゼロワン 内山 隆史 氏
(→ イベント登壇情報

生年月日:1978年11月7日 出身高校:静岡県立袋井高等学校

2001年(株)遠鉄百貨店入社。幅広いジャンルで販売と営業を経験し、全店顧客分析システムおよび外商営業に特化した営業支援システム開発のITプロジェクト責任者を兼務しプロジェクトを成功させる。その後、遠州鉄道(株)の不動産事業部でVR技術に触れたことが創業のきっかけとなり、2019年7月(株)ゼロワンを創業。代表取締役に就任。

株式会社ゼロワン
設立:2019年7月26日
所在地:静岡県浜松市中区鍛冶町100-1 ザザシティ浜松中央館B1F・FUSE内
資本金:20,000千円(株主:経営陣、エンジェル投資家)
事業内容:デジタルツインソリューションシステムの企画開発販売


   <聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

 

株式会社ゼロワン

住所
静岡県浜松市中央区鍛冶町100-1ザザシティ浜松中央館B1F FUSE内
代表者
代表取締役 内山隆史
設立
資本金
23,250千円
従業員数
事業内容
VR撮影・3Dモデル・IOT開発
URL
https://zeroone-1.com/
情報更新日
2024年6月21日

※上記は、情報更新日時点での情報です。