「株式会社ハッチ・ワーク IPO表彰・特別講演『コロナ禍を乗り越え、上場に至った軌跡と奇跡』」
<特別レポート>
2024年6月3日 インデペンデンツクラブ会員総会
@ エムキューブ
+ Zoom ウェビナー配信
■ イベント詳細 https://www.independents.jp/monthly-event/723
特別講演 レポート 株式会社ハッチ・ワーク IPO表彰・講演
『コロナ禍を乗り越え、上場に至った軌跡と奇跡』
株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役社長 増田 知平 氏 1978年生まれ ■経営学修士(MBA) 2024年3月26日 東京証券取引所 グロース市場上場(証券コード:148A)
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■月極駐車場のビジネスモデルで東証グロース市場へ
私はもともと大学卒業後、(株)セブンイレブンジャパンに入社しました。その後不動産業界の(株)グラントコーポレーションに転職し、その際に法人向け不動産フランチャイズがないということにビジネスチャンスを感じ、株式会社ハッチ・ワークへ転職しました。社名は雛が卵から孵ることに由来しており、新しいことを生み出したいという思いを持っています。当社には、貸し会議室やレンタルオフィスを運営する事業と月極駐車場オンライン管理支援サービスに関する事業の2つがあり、後者の月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」が成長エンジンとなり、2024年3月26日に東証グロース市場に上場を果たしました。
■コロナ禍に感じたストック型ビジネスモデルの重要性
創業当初の2008年は法人向けの不動産フランチャイズの貸し会議室・レンタルオフィス事業を行っており、それは利用者から手数料をいただくというフロー型のビジネスでした。しかし、2017年にストック型のビジネスに出会い、2018年から月極駐車場のビジネスモデルを始めました。その後新型コロナウイルスの影響で人が来られないという事態に陥り、貸し会議室事業の売り上げが大きく下がってしまう中で、当社を支えたのはストック型の月極駐車場ビジネスでした。この経験から私が学んだことは、ストック型ビジネスは経営者の精神的な安定につながるということです。経営者はどんなに精神的に辛い状況でも重要な判断に迫られる時があります。それが私にとっては新型コロナウイルス拡大による業績の低下でした。しかし、ストック型ビジネスによって収益が出ていたから落ち着いて冷静な判断をすることができたのだと感じています。
■自身の駐車場探しから上場ビジネスモデルを発見
上場に伴い取引所や主幹事証券から徹底的に指摘されたのはビジネスモデルです。同業他社や競合との差別化ができているのか、成長性があるのかということが重要だと面談を通して感じました。その際に当社の強みとなったビジネスモデルが月極駐車場の事業です。この事業は私の実体験からアイデアを得て始めたものです。私は2011年に引越をした際ウェブ上に駐車場の情報がなく、駐車場を管理する不動産会社にとり、駐車場賃貸借の仲介サービスは手間の割に収益性の低い案件だったのです。この課題を解決したいと考え、始めたのが月極駐車場の事業です。
当社サービスの「アットパーキングクラウド」ではウェブ上で駐車場を検索し、契約申込から決済、契約更新と解約手続までオンラインで完結することができます。不動産会社がやりたくないことを請け負うことで空き駐車場を紹介していただき、サービスを拡大させています。新しいビジネスをすることは非常に難しいですが、この経験から私は自分で痛みを感じたことに大きなビジネスチャンスがあるということを肌で感じました。また、他の人から月極駐車場の事業に対して儲からなそうという印象や難しそうだという意見を多くいただきましたが、それは同時に他の人が真似できない証拠であり大きなチャンスだと捉えて続けてきたことで、今回上場を果たすまでの差別化されたビジネスモデルを確立させることができました。
■上場した今感じていること
上場審査をしている際、3・4年前に上場した諸先輩方からアドバイスをいただいたのですが、直近は様々な課題が出てきたこともあり、取引所や主幹事証券から聞かれることが大きく変わっていました。時代によって何を重要視してくるのかというのは変化しており、上場審査は年々厳しくなっています。そのため、早めに上場することが可能ならその選択肢をとった方が様々な観点でのリスク回避につながると私は考えています。また、主幹事証券から面談で口酸っぱく言われたのは「上場するなら黒字にしてくれ」ということです。どんなに良い成長戦略があっても利益が出ていないと審査が通りづらいのです。私が上場を通して感じているのは、しっかりと利益が出せるのかという点が非常に重要視され、それが企業価値に反映されるということです。
最後に私が上場を目指す上で本当に必要だと感じたことを3つ挙げようと思います。1つ目はビジネスモデルです。競合と差別化されているか、長時間スケールするかと言った点が非常に重視されます。2つ目は資本政策です。資本政策は一度行ったら後戻りができない重要な判断です。また、自分で株式を保有している場合は資産管理の対策もしておくべきです。上場してから対策するのでは遅いので、あらかじめ考えておく必要があります。3つ目は情熱とリスクテイクです。私は自分の情熱を表に出して取引所や主幹事証券に伝えることで私自身の強い想いが伝わり、良い影響を与えたと感じています。
※「THE INDEPENDENTS」2024年7月号 P.4-5より
※ 冊子掲載時点での情報です
株式会社ハッチ・ワーク
- 住所
- 東京都港区南青山2-2-8DFビル3階
- 代表者
- 代表取締役 増田 知平
- 設立
- 2000年6月
- 資本金
- 238,607,200円
- 従業員数
- 190名
- 事業内容
- 月極イノベーション事業、ビルディングイノベーション事業
- URL
- https://hatchwork.co.jp/