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「大企業から起業し、工事現場業務のDX化を実現する」

<起業家インタビュー>

― 非常に面白い事業だと感じているのですが、創業に至るまでの経緯を教えてください

 私は三菱電機(株)、Goodyear Tire and Rubber Companyを経て虹技(株)に入社しました。そこではプラントの設計や現場監督業務に長年従事しておりました。業務の中で特に写真業務が面倒くさいと感じており、いまだに手作業で写真を整理してファイルに閉じるようなアナログな環境を改善したいと考え、そのための構想はずっと頭にあったもののそのまま会社員として働いていました。

 しかし、2年前に経済産業省の出向起業支援制度を知り、これができれば小さいリスクで必ず成功できるという自信があったため、すぐに社長にプレゼンを行い出向事業に採択されたことを受けてverbal and dialogueを創業いたしました。社名の由来は私自身が仕事・家族・友人関係全てにおいて対話が重要だと考えていることから名付けました。

 

 

― 御社は出向起業支援制度を活用している企業の中でも先頭を走っているように感じます。創業から現在までどのように事業を進めてこられたのですか

 出向起業支援制度を知ったために始めた事業で、相談から立ち上げまで元経産省の奥山様には非常にお世話になりました。資金調達は主にそこで採択されて投資されたものと自己資金で行ってきました。また、システム開発は内部エンジニアが担当しており、私自身が現場を知っているので私の構想を形にするため要件定義からエンジニアとともに進めてきました。時間としては2年間かかりましたが、6月にようやくローンチする予定です。また、大企業にいた強みとして前職で付き合いのある人に最初から相談して協力していただき、開発しながらクライアントの獲得も行ってきたので、出来上がったときからクライアントがいます。大企業での経験・リソースをフルに使いながら事業展開をしていくことができるのはまさに出向起業支援制度の強みだと感じています。すでに次のプロダクトも考えており、クライアントとなる取引先から依頼を受けて共同開発を行なっています。今後は事業展開と開発の両輪を回しながら経営していきます。

 

―  最初のプロダクトである「Cheez」のビジネスモデルついて教えてください

 プラント業界には工事写真業務というものがあります。これは工事現場で10,000枚以上の写真を撮影し、工程ごとに整理してそれを1枚1枚貼り付けてファイルに閉じて写真台帳を作成し客先に提出するという業務です。

 面倒な写真台帳作成業務も、「Cheez」を利用すれば工事現場の写真撮影だけで完了し、自動で工事写真帳を作成します。加えて、画像認識AIによる工事黒板の自動読み取りや音声入力による情報タグ付け、QRコードによる自動管理を行い、工事現場のデジタル化を一気に進めます。また、タスク状で表示することで写真の撮り忘れを防止し、現場に行くことなく進捗確認が可能になり、従来のデジカメを継続で使用可能にするなど現場経験をもとに最適な体験を実現しています。特許の取得もしており競合と差別化を図っています。これにより現状約96時間かかっている工事写真業務を1秒にまで削減します。今後はこのプロダクトをプラント業界だけではなく他業界にも横展開すると同時に、海外展開も行っていく予定です。また、クライアントから別業務のDX化についても依頼を受けているため、開発も同時に行っていきます。
 


― 事業展開として何年後のIPOを考えていますか

 正直4年後には27億ほどで上場したいと考えているのですが、猶予として6年後としています。上場前の資金調達として今回はすでに出資を受けていてクローズする予定です。次に動こうとは考えているのですが、まだバリュエーションは決まっていません。

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 IPOが4年後では少し遅いように感じます。企業の成長性を投資家に見せるために20億ぐらいで上場して、5倍伸びるという方が投資家にとっては魅力的に映ります。事業が加速中での上場がストーリーとしても綺麗に感じるので、上場をもう少し早めたほうが良いと感じています。ビジネスに死角がないと感じているので今後のご活躍が非常に楽しみです。

 

interviewed by kips 2024.4.10 




【verbal and dialogue株式会社】  (→イベント登壇情報
設 立 :2022年4月21日
所在地 :兵庫県姫路市網干区和久423-48
資本金 :2,000千円(株主:森川善基)
事業内容:工事写真帳自動作成システムの開発提供
従業員数:14名
 
 

 

【代表者略歴】

verbal and dialogue株式会社
代表取締役
森川 善基 氏 Morikawa Yoshiki

生年月日:1983年11月25日
早稲田大学人間科学部卒。
 
三菱電機(株)、Goodyear Tire and Rubber Companyを経て、虹技(株)入社。プラントの設計・現場監督の業務に長年従事。
プラント業界のアナログな業務体系に課題を感じ、業界の課題解決と生産性向上のため、経済産業省の事業に採択いただきverbal and dialogue(株)を創業。
写真業務の効率化など建設テック領域の事業開発を行う。
 

※「THE INDEPENDENTS」2024年5月号 - P.4-5より

verbal and dialogue株式会社

住所
兵庫県姫路市網干区和久423-48
代表者
代表取締役 森川 善基
設立
2022年4月21日
資本金
2,000千円(株主:森川善基)
従業員数
14名
事業内容
工事写真帳自動作成システムの開発提供
URL
https://vnd.co.jp/