「研究開発リソースを活用させる仕組みを構築・日常化し、「研究開発の民主化」を目指す」
<起業家インタビュー>
― 2つの研究室に所属した経験と民間企業の研究職に従事していた際に感じた問題意識
東北大学工学研究科在学時に2つの研究室に所属していました。2つ目の研究室に在籍 していた際に、1つ目の研究室の推定10倍程度の予算を使いつつ査読論文を8本通した経験から、研究者の能力ではなく研究室の予算の規模や設備によって、研究成果が大きく変わることに驚きました。その後、メーカーでも研究をしていた際には、研究設備の購入に係る意思決定の遅さや数億円する設備の稼働日が少ないといった現状を目にし、研究の仕方や設備の活用法について、もっと改善の余地があるのではないかと感じました。
― 起業は自身の特性とビジネスコンテスト等でのアイディア投稿がきっかけ
修士の時に、自分で課題設定・仮説構築・実行手段の確保・検証といった作業を遊びのように何度も行っており、面白そうなことを突き詰めて考える時間を繰り返していました。その後、メーカーで研究職をしていた際に自らの視野が狭くなっていることを認識し、頭が切り替えられる何か面白いことはないかと考えるようになりました。そこで、別の企業が募集していた新規事業アイディアに複数投稿したところ高頻度で受賞し、企業からのお声がけもありました。その際に、起業経験者の方と友人関係になり、同様にビジネスコンテスト等に出場したところ、アイディアの検証の場が与えられ、そのタイミングで本当に自分が課題に思っていることを形にしてみようと考えました。この経験が「Co-LABO MAKER」の立ち上げに繋がっています。
― 国内唯一のシェアラボプラットフォームを運営
「Co-LABO MAKER」は、研究開発したい研究者と、研究リソースをもつラボ(研究室)をマッチングさせ、機動的な研究開発を支援するプラットフォームです。「Co-LABO MAKER」でシェアするものは、大学・民間の研究施設など既に立ち上がっているラボであり、ラボの新規創設やレンタルよりも早く・安く、支援付きで実験に着手できる点が強みです。特に、比較的小規模で特殊な研究設備を早く使いたいというニーズのある企業にとってはフィットすると考えており、他のレンタルラボやシェアスペースとは違った独自の価値を提供できています。収益モデルは、サービス料の30%と紹介時に5万円をいただいており、1件当たりの単価は数十万から数千万となっております。毎月70~80件ほど相談もいただいているため、継続的なユーザーからの需要も見込んでいます。
― 大企業含む多数の企業・大学・有識者から支持
現在、全国300件以上のラボを中心に、5,000件以上の研究リソースを登録いただき、大手メーカーから一般企業、学校、団体など、400件以上のマッチングを実現しています。具体的な事例では、化学系評価装置を開発するベンチャーが、バイオラボ立ち上げのため細胞・遺伝子実験ができる都内大学を活用されたものがあります。自社で設備投資すると40,000千円の資金と半年の立ち上げ期間を要するのに対し、「Co-LABO MAKER」活用によって、月30万円で即実験が可能になりました。ROIとスピードが圧倒的に向上される、“アジャイル”な研究開発を推進します。
― 東京都のスタートアップ支援展開事業「TOKYO SUTEAM」協定事業者に採択
「Co-LABO MAKER」は、PoC段階やPoC後の研究開発拡大を考えるタイミングで価値を発揮しやすく、スタートアップに重宝されると考えています。2023年9月「TOKYO SUTEAM」に採択され、ディープテックスタートアップを支援するVC・アクセラレーター・公的機関といった支援者へ、当社の保有するラボデータベースやノウハウを活かした「ディープテックスタートアップ支援プラン」を提供します。これによりPoCにかかる費用や時間を大幅に抑制し、またPoCを進めるための資金やネットワーク形成、連携契約などの支援も行います。
― 約1.9億円の資金調達を実施し、アズワンとの協業を開始
2023年10月にディープテック投資家等よりシリーズAラウンドで約1.9億円の資金調達を実施するとともに、アズワン(株)との協業を開始いたしました。同社は900万点を越える商品データベースを持った、研究者にとって既になくてはならないサービスを提供しており、アズワンネットワークを活用したラボ・顧客の増加や、当社の保有するラボとアズワン社が保有する設備および資材をセットで提供できる「丸ごとラボレンタルプラン(仮称)」などの共同サービスの開発・提供を進め、事業成長を加速します。
― ラボシェア市場から世界のR&Dアウトソーシング市場へ
グローバルでは創薬研究を中心にCRO市場が急成長しており、またR&Dアウトソーシングのプラットフォーム企業も台頭し始めています。当社でも、まずは価値の源泉であるラボ獲得を本格化し、全国の大学の化学・バイオ・材料系研究室を中心に2年後5,000件の登録を目指します。日本全体の大学研究室に対し、現在のラボ登録数は1%に満たず、需要過多で拡大余地は多いにあります。シェアラボの網羅的データベースや顧客基盤を構築し、研究受託や分析サービス、R&Dアウトソーシング等の周辺領域へ展開。また、日本企業のグローバル展開、海外企業におけるCRO・ラボ活用の日本誘致を行うプラットフォームを目指します。
interviewed by kips 2023.10.13
【株式会社Co-LABO MAKER】 (→イベント登壇情報)
設 立 :2017年4月7日
所在地 :宮城県仙台市青葉区国分町1丁目4-9 enspace
資本金 :255,738千円(資本準備金含む)
役 員 :(代)古谷優貴
事業内容:実験機器・設備および技術のシェアリングプラットフォームの企画開発運営
従業員数:10名
【代表者略歴】 株式会社Co-LABO MAKER
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※「THE INDEPENDENTS」2023年11月号 - P.2-3より
株式会社Co-LABO MAKER
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区国分町1丁目4-9 enspace
- 代表者
- 代表取締役 古谷優貴
- 設立
- 2017年4月
- 資本金
- 62,687,691円(資本準備金含)
- 従業員数
- 事業内容
- 実験機器・設備および技術のシェアリングプラットフォーム「Co-LABO MAKER」の企画・開発・運営
- URL
- https://co-labo-maker.com/
- 情報更新日
- 2024年10月25日
※上記は、情報更新日時点での情報です。