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「東北のスタートアップ支援について」

 <イベントレポート>

2023年10月13日 東北インデペンデンツクラブ
@ 東北大学 片平キャンパス AIMR本館セミナー室
+ Zoom ウェビナー配信

■パネリスト

丹野 英司 氏(宮城県 経済商工観光部 新産業振興課長 「テクスタ宮城」担当者)
長浜 勉 氏(東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社 シニアヴァイスプレジデント)
石倉 慎也 氏(国立大学法人東北大学 スタートアップ事業化センター 企画推進部長)
<モデレータ>
國本 行彦(株式会社Kips 代表取締役/特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 理事)

 
 
以下のテーマについてディスカッションを行っていただいた内容をお届けします。

東北のスタートアップ支援について」 

國本:東北大学は国際卓越研究大学に留保条件を満たす事を前提に選ばれました。その理由の一つに世界最先端研究施設である「次世代放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)」が高く評価されたと思います。 

石倉:「ナノテラス」は、強力な光を使って原子レベルで物質の構造や状態を観察できる “ナノスケール現象を可視化する巨大な顕微鏡” です。東北大学青葉山新キャンパス内に整備され、2024年に本格稼働を予定しています。
東北大学は、「ナノテラス」の活用や隣接するサイエンスパーク事業の展開等により、産学共創の拠点形成や大学発スタートアップの拡大を目指しております。

 

國本:「ナノテラス」は量子科学技術研究開発機構と仙台市を中心とした自治体及び民間企業整備主体となっています。

石倉:「ナノテラス」は、国や地域をあげての官民一体のプロジェクトであり、官民地域パートナーシップによる最先端の大型研究施設のリーディングケースとなっています。大企業の活用だけでなく、新たなスタートアップが生まれることが期待されております。

 

國本:宮城県が中核となるテック系スタートアップ・コンソーシアム「テクスタ宮城」について教えてください。

丹野:産学官金が一体となり、東北大学発等のテック系スタートアップの成長支援を地域全体で進めることで、県経済の成長をけん引していく新たな企業価値を創造していくことを目的に、令和5年5月10日に設立されました。東北経済産業局など構成員73社、支援対象スタートアップは38社です。スタートアップを支える側の構成員は、県外からでも加入できます。

 

國本:大学発スタートアップの創出支援の一環として、東北大学ビジネス・インキュベ-ション・プログラム「BIP」を実施しています。

石倉:東北大学は本学独自のギャップファンド(研究者や学生向け起業準備資金)のプログラムとして「BIP」を実施し、PoC(Proof of Concept)確立に向けた検証、知財の獲得、BIP 終了後に必要な外部資金獲得準備、創業メンバーの探索など、起業化に向けた基盤作りを行っております。BIPは2013年の開始以降、これまで95件を支援しており、そのうち33件(現時点)が東北大学発スタートアップの設立に繋がっております。
また、東北6県と新潟の大学で構成される「みちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム」が共同運営する「みちのくギャップファンド」を2021年から開始し、うち東北大学分として12件を支援しております。

 

國本:THVP(東北大学ベンチャーパートナーズ)は現在1号ファンドと2号ファンドを合わせて約174億円をスタートアップ投資に向けています。

長浜:注目しているのは東北圏域の大学が強みを持つ低消費電力の半導体アーキテクチャ、電池用途やバイオマス活用などカーボンニュートラルに繋がる触媒技術、発酵技術などを含めたバイオ分野です。大学とも連携しながら、経営幹部候補のマッチング、知財戦略策定支援、健康医療ビッグデータを活用したライフサイエンス系スタートアップの創出支援などに取り組んでいます。

 

※「THE INDEPENDENTS」2023年11月号 P.4より
※ 冊子掲載時点での情報です