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「テクノロジー企業のマーケティング戦略」

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ナレッジスイート株式会社
代表取締役社長兼CEO 稲葉 雄一さん

1968年 東京都台東区 出身。1987年 東京都私立保善高等学校 卒業。大学中退後にSP会社、ITベンチャーを得て、電通グループに入社。株式会社電通ワンダーマン、株式会社電通テック、株式会社電通でのインタラクティブ コミュニケーション領域、クロスプロモーション領域で多くのクライアント業務を担当。電通社内の統合プロモーション領域におけるプランニングMVPを多数受賞。2006年 ブランドダイアログ株式会社創立、現在に至る。

住所:東京都中央区湊3-5-10 セントラル新富町ビル5階
TEL: 03-3553-4433 設立:2006年11月1日  資本金:67,200,000円
http://branddialog.co.jp/

―事業概要について教えてください
稲葉:当社は、SaaS(サース)による新しいコミュニケーション手法と、グリッドテクノロジーを融合し、日本発・世界初のクラウドコンピューティングを創出することを事業目的にしています。SaaSとは、ソフトウエアをネットワーク経由のサービスとして提供・販売する形態です。当社は、グループウエア「GRIDY」を中心に、SFA/CRMビジネスアプリケーション「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」を提供しています。

―コア技術はグリッドテクノロジーという事ですか?
稲葉:インターネット上のコンピュータを結びつけ、ひとつの複合したシステムとして提供するグリッド技術の独自エンジンがベースで、日本、アメリカ、ヨーロッパで特許も出願中です。2008年4月には当時日本一のスーパーコンピュータ「TSUBAME」 を持つ東京工業大学と仮想スーパーコンピューティング技術(クラウド)の共同研究も開始しました。ドッグイヤーと言われるインターネット業界では、スピードは重要ですが、半年程度で開発される技術は所詮、半年で真似されてしまいます。われわれはグリッド技術開発に2年半以上かけました。このミドルウエアを武器にビジネスを展開していきます。

―「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」とはどのようなものですか?
稲葉:「ソフトウエア不要、インフラ不要」で利用したい時に利用した分だけお支払いいただくSaaS型アプリケーションです。アプリケーションサービスは、グループウエアを中心に営業支援SFA、顧客管理CRMなど6種類あり、PDCAサイクルの高速化を実現し、低コストによる導入を可能にしました。
*PDCAサイクル=Plan、Do、Check、Actionを用いたマネジメント手法

―中小企業におけるグループウエア導入効果を教えて下さい
稲葉:「社内業務の効率化」「情報共有の徹底」「スケジュール管理」です。中小企業には武器が必要です。獲得した名刺と日々の営業日報書き込みをナレッジベース化し、社内・部署のコミュニケーションと情報共有、そして進捗管理を一元化することで業務の可視化を実現しています。成功ナレッジの共有による営業効率の最大化を図ることができます。

―無料版グループウエア「GRIDY」はどうして完全永久無料にできるのですか?
稲葉:対価として導入企業のPCやサーバにおけるCPU/HDDの遊休能力を提供いただくからです。それらがインターネット上に構築されるクラウドコンピューティングの一部となり、この能力を必要としている大手企業や研究機関などへ当社から有償で供給されます。通常1日平均、CPUの20%、HDDの30%しか使われておらず、余っている能力それが遊休能力となります。

―ユーザー数はどのくらいですか?
稲葉:2009年2月からサービス開始して、現在は7600社です。毎月無料版は300社程増えていますが、無料版は9割、有料版は7割は中小企業が利用していただいております。

―無料版以外の収益モデルを教えて下さい
稲葉:有料版「GRIDY」と「プライベートクラウド」です。企業のセキュリティポリシー問題や複数OSを使う場合は、有料版「GRIDY」となります。価格体系は1GBあたり月2,000円という完全従量制です。初期費用は無料で、ユーザー数は無制限です。現在、無料版と有料版の比率は9:1です。当社ではグループウエア「GRIDY」をベースにして、SFAなどのアプリケーションは有料で提供しています。 「GRIDY」の特徴は、違う企業同士で安全に情報共有できる点ですが、「プライベートクラウド」は企業内のみで利用するイントラネット環境下のグループウエアです。多くのPCを保有する中堅企業や大企業の遊休PCを保有ファイルサーバーの能力として再活用し大幅なコスト削減効果を実現します。

―SaaSにおいてセキュリティ対策が大きなポイントだと思いますが?
稲葉:セキュアで安心な環境提供には最も力を注いでいます。ユーザーに税理士・会計士事務所、病院が多いのは良い例です。顧客企業の会計データを安心して外部に預けるリスクを使用制限という管理面からもサポートしています。PマークやISO27001も取得しており、技術面でも、ファイルデータを暗号化して、細かく分割した状態で、各PCの余剰HDDに分散格納されています。また、脆弱性監査やSLAの開示、ASP・SaaS安全・信頼性情報開示認定制度の認定を取得など利用する企業に安心してご利用いただける環境を用意しております。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2010年9月号 - p04-06にてご覧いただけます