「結晶材料と回路技術を市場ニーズと結ぶ」
株式会社Piezo Studio 代表取締役 木村 悟利 氏 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
鮫島:貴社は東北大学を代表する金属材料研究所から生まれたスタートアップです。
木村:同研究所の吉川彰教授らが開発した「新規ランガサイト型(CTGS)結晶」をタイミングデバイスなどの電子部品に開発して社会実装する目的で、2014年12月に創業しました。この材料は、従来のランガサイトでは実現できなかった「均質性の高い結晶構造」が特徴であるので、実用的な結晶材料として期待されています。
鮫島:CTGS結晶を用いたタイミングデバイスは近年急速に普及が進むIoT製品への搭載が期待されています。
木村:従来の水晶デバイスと比較して、発振するまでの起動時間を1/10に短縮できる点が強みです。高速に起動することにより、その間の消費電力を削減できます。これにより、全世界で多数のネットワークが形成される本格的なIoT時代において、全ての通信機器の長い待機時間による電力消費を削減することが可能となり、全世界の省電力化に貢献できます。
鮫島:ビジネスとしては、供給体制をいかに構築するかがポイントになります。その点で、既に材料とデバイスに関する特許取得をなされており、大手メーカーとの提携を検討されているのは知財戦略の基本と言えますね。
木村:大手メーカーには製造を委託し、我々はファブレスとして新製品や新技術の開発に注力しています。これは、製造方法だけでなく材料やデバイス、つまりモノそのものが特許になっているからであり、事業提携においてもその技術は守られ、相手方にとっても利益のある対等な関係を築けるのだと思います。
鮫島:2020年9月には消費電力世界最小の発振回路の開発成功を発表されています。本技術も大きな市場が見込めますね。
木村:高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所の宮原正也准教授らとの共同研究で実現した「コンプリメンタリー・コルピッツ発振回路」です。今後有望視されるBLE(Bluetooth Low Energy)などのモバイルIoT機器の電池の持ち時間を大幅に伸ばすことができ、また信号の純度の要求が高い5GやBeyond 5Gの水準を満たすことができる画期的な発振回路です。こちらも早期審査で特許登録されました。これら一連の製品を以て、グローバルで活躍するベンチャーを目指します。
―「THE INDEPENDENTS」2023年7月号 P12より
※冊子掲載時点での情報です
<話し手> |
<聞き手> 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏 1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。 1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。 1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。 1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。 1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。 2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。 |
株式会社Piezo Studio
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区一番町1-4-1
- 代表者
- 代表取締役 木村悟利
- 設立
- 2014年12月5日
- 資本金
- 25,000千円
- 従業員数
- 5名
- 事業内容
- 電子部品及びその材料の開発、設計、試作、解析、評価、製造販売など
- URL
- https://piezostudio.com/