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「世界で注目の素材で環境変化に挑むベンチャー町工場」

 

 

【代表者略歴】

エフピー化成工業株式会社
代表取締役
赤澤 英郎 氏 Akazawa Hideo

 (→イベント登壇情報)


生年月日:1969年4月25日
出身高校:岡山県立玉野光南高校
中央大学卒業後、富士市にある紙管メーカーに就職。2014年代表取締役就任。2016年エフピー化成工業株式会社設立、代表取締役就任。


<起業家インタビュー>

「世界で注目の素材で環境変化に挑むベンチャー町工場」

■ 脱プラスチックではなく『環境に優しいプラスチック』

弊社は、前職で培った技術を基に、今後代替必須になるであろう”バイオマス素材”の開発に専念すべく立ち上げました。私たちの身の回りはプラスチック製品であふれています。しかし、生活の利便性を考えると、プラスチックの使用を完全になくすことは現実的ではなく、プラスチックを使用することで生じる環境負荷を減らしていくことが現実的だと考えています。そこで注目したのが、天然植物由来のセルロースファイバーです。強度があり、樹脂に混ぜることで耐熱性は向上、寸法安定性も向上します。そして、再生劣化の少ない魅力のある素材です。

 

■巴川製紙所との共同特許で市場奪取へ

弊社は、環境負担を減らした新素材「グリーンチップ(R) CMF(R)」を株式会社巴川製紙所と共同開発しました。従来約10~20%の配合が一般的だった「セルロースファイバー」を特殊技術により、51%以上配合することが可能です。また、従来難しかった、製品の大量生産も可能で、生産コストを約10分の1以下に抑えることができます。この特殊な技術に関する特許は株式会社巴川製紙所と共同出願しています。

 

■新素材を広めるための大きな決断

私は、富士市にある紙管メーカーで約30年間仕事をしてきました。紙管はリサイクルが難しい為、廃材などを「廃棄せずに素材として再利用できないか」と考え、難処理古紙のリサイクルについて研究し、樹脂と難処理古紙の混合技術の確立に成功しました。その頃から海洋汚染や地球環境問題への関心が高まりはじめ、環境に配慮した素材を作れないかと考えたのが、「グリーンチップ(R) CMF(R)」開発のきっかけでした。今地球規模で、脱プラスチックが叫ばれており、この新素材を世の中に出していきたいという思いでエフピー化成工業を起業しました。事業が固まっていない中での起業はリスクを伴っていましたが、この素材の可能性に賭け独立を決心しました。セルロースナノファイバー事業は国家プロジェクトでもあり、大手企業もセルロースナノファイバーの研究開発に力を入れ始めたことで、私の決断は正しかったと感じています。

 

■資本提携、業務提携によって事業推進に成功 

創業当時、様々な補助金を申請している時にユアサ化成株式会社と出会い、出資受け入れを行うことができました。また、グリーンチップ(R) CMF(R)の開発では株式会社巴川製紙所と協業し、事業を加速させています。私自身、不安はありましたが、事業を推進させていくためにどのパートナーを選ぶかを慎重に考え決断をしました。適切なタイミングで適切な企業と協力していくことで商品化までたどり着くことができました。

 

■生産体制の強化から、自社ブランドの展開へ

グリーンチップ(R) CMF(R)の製造販売においては、株式会社巴川製紙所と協業しております。現在、toB向けにぺレットの販売、toC向けに自社商品の販売に力を入れています。特に、ペレットの生産は他社の追随を許さない生産量を誇っており、今回の資金調達によって更なる生産体制の強化が見込まれます。将来的に、自動車のような大量消費が見込まれる顧客に対しても対応できると考えています。自社商品の開発では、日用雑貨を中心に展開し、自社のみで売り上げを見込める体制も整えていきます。 

 

■国内だけにとどまらない、ニーズ多い海外も見据えて

自動車への実装には、約5~6年かかることから、先ずは身近な日用品の商品化に着手しています。現在、東海地方を中心に展開するアウトドアショップ「SWEN」様から、マグカップを販売しており、その他、日用雑貨メーカーや複数の商社からお問い合わせをいただいています。また、建材にも応用でき、床材への採用がはじまっています。海外では、セルロースファイバーの研究は進んでいますが、商品化まで進んではいない状況があります。海外の脱プラスチックのニーズは大きく、この大きな市場をしっかり取りに行くべく国際特許の申請も行っています。

 

 

■IPOに向けて

現在は、7~8年後のIPOを目標に事業計画を立てています。正直な話、上場は夢の話と考えていました。ですが、事業計画発表会に登壇したことをきっかけに、過去に登壇された方や上場について調べるきっかけになり、上場は私達でも目指せるものだと思うことができました。町工場である弊社が、成功事例として会社を上場させることで、同じ挑戦をしている方や目指す方の希望となりたいと考えています。


interviewed by kips 2023.5.15

 



【エフピー化成工業株式会社】
設 立 :2016年8月31日
所在地 :静岡県富士市大野86番地の1
資本金 :7,000千円(株主:赤澤英郎、ユアサ化成株式会社)
役 員 :(代)赤澤英郎
事業内容:合成樹脂複合材 及び 押出成形品・射出成型品の製造販売
売上高 :68,667千円(2023年3月期)
従業員数:6名


※「THE INDEPENDENTS」2023年6月号 - p4-5より

エフピー化成工業株式会社

住所
代表者
代表取締役 赤澤英郎
設立
2016年8月31日
資本金
7,000千円
従業員数
6名
事業内容
合成樹脂複合材および押出成形品・射出成型品の製造、販売
URL
https://fp-chem.co.jp/