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「グローバルな視点」

 


インデペンデンツクラブ代表理事
秦 信行 氏

早稲田大学政経学部卒業。同大学院修士課程修了(経済学修士)。野村総合研究所にて17年間証券アナリスト、インベストメントバンキング業務等に従事。1991年JAFCO に出向、審査部長、海外審査部長を歴任。1994年國學院大学に移り、現在同大学名誉教授。1999年から約2年間スタンフォード大学客員研究員。日本ベンチャー学会理事であり、日本ベンチャーキャピタル協会設立にも中心的に尽力。2019年7月よりインデペンデンツクラブ代表理事に就任。



筆者がこのコラムを書いている今日は2023年1月19日の木曜日、少し遅くなってしまったが、読者の皆様に「明けましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくお願いします」と改めてご挨拶させて頂きたい。

特定非営利活動(NPO)法人インデペンデンツクラブの活動は、現理事の國本が2006年に(株)インディペンデンツを設立したことに始まる。その後2008年に(株)インディペンデンツの下に任意組織としてインデペンデンツクラブを作り、2015年には(株)インディペンデンツを(株)Kipsに改組すると同時に、新たに特定非営利活動(NPO)法人インデペンデンツクラブを設立した。その後については、2021年に認定特定非営利活動(NPO)法人に認可されると同時に、当初からの「一人でも多くの人と一緒に1社でも多くの公開会社を育てる」という理念の下に活動を続けている。

現状のインデペンデンツクラブの主力事業である事業計画発表会については、現在認定NPO法人インデペンデンツクラブの名誉会長で当時は早稲田大学教授であった松田修一氏と、同じく現在NPO法人インデペンデンツクラブの理事で三優監査法人の会長パートナー杉田純氏のお二人が1997年に始められた事業計画発表会を2011年に引き継ぐ形で開催させて頂いている。事業計画発表会については昨年2022年12月末の段階で、開催回数は517回、発表社数は1,348社、そこからIPO=株式公開した企業は30社を数えるまでになっている。

さて、現状数年前から世界的にスタートアップ=ベンチャーの育成競争ともいうべき動きが続いていることはこのコラムでも紹介させて頂いた。その中で日本は、スタートアップは確実に増えてはいるが、他国と比較してどうなのであろうか。正確には分からないが、日本の場合、少なくともスタートアップの経営規模は残念ながら小さい。それは、日本の経済規模に比べてユニコーン(時価総額10億ドル、1ドル=125円とすると1,250億円の未上場企業)が少ないことに現れているし、株式市場に新規にIPO=株式公開した企業が総じて小粒であることにも現れている。

では、どうしたら日本のスタートアップをレベルアップさせることが出来るのか?

話しは変わるが昨年11月にカタールで開かれたサッカーのワールドカップは大いに盛り上がった。日本チームは残念ながらベスト8の壁を乗り越えることは出来なかったが、強豪国ドイツとスペインを見事撃破し新しい世界を見せてくれた。それはサッカーだけではない、野球やラグビー、バスケットやバトミントン、さらには陸上競技においても世界と戦える選手がスポーツの世界では出て来ている。では、何故日本のスポーツが強くなったのか?理由は色々挙げられるであろうが、筆者は日本のスポーツがグローバルな視点を持ち、世界との交流を拡大していったことが大きいと思う。

20世紀末まで、例えばサッカーの日本人選手でヨーロッパで活躍する例はほとんどなかった。野球においても野茂英雄が20世紀末に米国に行って活躍するまでは野球の本場米国でプレーする日本人選手も皆無に近かった。 筆者はスタートアップの世界においてもグローバルな視点を持ち、世界との関りを強める必要があると考えている。2日前の1月17日の日経新聞朝刊)にファーストリテイリングの柳井会長兼社長もインタビューに答えて、今後のグローバル経営の必要性を強く訴えられている。

※「THE INDEPENDENTS」2023年2月号 掲載
※冊子掲載時点での情報です