「ドローンショーをより多くの人に楽しんでもらうために」
※ 23/06/01 株式会社ドローンショー に社名を変更されました。
<話し手>
代表取締役 山本 雄貴 氏
2006年東京工業大学工学部経営工学科卒業後、三井住友銀行入行。2007年オンライン図書館サービス「Hotdocs」を運営するイデアルリンク設立。2010年Baiduへの事業譲渡に伴い、digidockに参画、取締役就任。2011年gumiに参画, 福岡支社代表。2012年(株)デジタルアイデンティティ(現:(株)Orchestra Holdings)に参画。2016年同社取締役就任、東証マザーズにIPO。その後、子会社代表やフリーランスを経て、2020年当社創業、代表取締役就任。
【株式会社ドローンショー】
【設 立】2019年8月19日
【所在地】石川県金沢市泉野出町3-9-3
【資本金】56,000千円(株主:経営陣、個人投資家)
【事業内容】ドローンショー事業
<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。
鮫島正洋の知財インタビュー
「ドローンショーをより多くの人に楽しんでもらうために」
鮫島:ドローンショーと言えば、2021年東京オリンピック開会式の演出が大きな話題になりました。この事業に特化して、石川県発のスタートアップを立ち上げられましたが、そもそも市場はどの程度あるのでしょうか。
山本:Intel社が2015年11月に100機のドローン同時飛行でギネス記録に登録された前後から、欧米や中国でドローンショーを専業とするスタートアップが次々と生まれており、その市場規模は2028年には約10Bドルになると予想されています。当社でも2020年8月に金沢港開港50周年記念事業で60台のショーを実施して以降、100件を超える案件を手掛けており、特に東京オリンピック以降は引き合いも急速に増加しています。
鮫島:日本においても競合が存在する中で、開発~製造~運用を行う体制を自社内で一貫して有している点を強みとしており、ドローンショー専用の独自機体も開発されています。
山本:プロダクトデザイナーやHW/SW/NWエンジニアを社内に抱え、高速で開発PDCAを回す環境を整備しています。これらチーム基盤を元に、最先端の演出技法や制御技術を詰め込んだ世界最高品質のドローンショーを予算規模の大きな案件向けに提供することで、この1年で圧倒的な地位確立とブランディングを目指します。また、得られた開発成果をパッケージ化し、代理店やイベント制作会社を経由して安価に実施する体制を構築することで、より多くの人がドローンショーを楽しめるよう裾野の拡大にも平行して取り組んでいきます。
鮫島:ソフトウェア分野で例えるなら、OS開発会社の位置付けを狙うのですね。まさに今後ドローンショーを実施したい利用者や参入者の増加が見込まれる中、知財戦略を強化するベストなタイミングです。
山本:技術進歩の早い分野であるため参入したくてもR&D機能まで持つことは困難なので、その役割を我々で担いたいと考えています。技術課題は多く残されているため特許の芽はいくつも挙げられますが、クリティカルなものに厳選したい。また、ビジネスとしては業務委託を受けて実施するものなので、権利帰属や責任所在に関する契約フォーマットも洗練させていかなくてはならない課題です。
鮫島:ある演出の実現に関する固有課題を解決する技術や、貴社独自のビジネスモデルの管理・運用面で強い特許を取得するとともに、このビジネスを遂行するための契約実務に関する複合的なサポートを提供する必要性を感じます。貴社の技術が搭載されたドローンショーが世界中の空を彩る未来が今から楽しみです。本日はありがとうございました。
―「THE INDEPENDENTS」2023年1月号 P8より
※冊子掲載時点での情報です