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【岡 隆宏 氏 略歴】
関西学院大学商学部卒業後、1998年に夢展望株式会社を創業し、2013年に東京証券取引所マザーズ市場上場(3185)。2015年にバイアウトしたのち、2016年から日本にベンチャーエコシステムを構築するために、一般社団法人日本スタートアップ支援協会(JSSA)を設立。2019年にはエンジェルファンドを組成し、ベンチャー企業への投資を開始。大阪大学招聘教授。


<パネラー>

一般社団法人日本スタートアップ支援協会 代表理事 岡 隆宏

<聞き手>

國本 行彦(株式会社Kips 代表取締役/インデペンデンツクラブ理事)


國本:JSSAは関西に拠点を置き、IPO(株式上場)やM&A(バイアウト・会社売却)を目指す起業家に対して経営豊かなメンターがサポートしています。
岡:上場企業の元経営者を含む150名のハイレベルなメンターが、会員企業に対してメンタリングを行い、経営課題の解決に導きます。2021年末時点でIPO4社、M&A14社という実績です。協会としてもエンジェルファンドを設立し36社に対して投資を実行済みです。1社あたりの平均投資金額は10百万円で、SaaS系、シェアリング系が多く、今はフードテック領域に注目しています。設立準備中の2号ファンドでは関西企業の割合を6割程度にしたいと考えています。

國本:地方のポテンシャルの高いスタートアップに注目が集まっていますが、関西を含め、地方で起業するメリットはいくつかあります。
岡:地方起業のメリットは、まず関東と比べて家賃が安いですし、人件費が2~3割安いといえます。尖った技術やプロダクトを持っている場合は、地方で事業を進めたほうが目立ちやすく、マスコミにも取り上げられやすいことは見逃せないポイントです。 BtoBとは違い、ECのようなBtoCであれば地方でも十分事業を行えます。

國本:スタートアップ企業では、資金調達に成功しても人材確保がボトルネックになるケースが増えています。
岡:テレワーク化が進み、優秀なエンジニアは、地方も東京在住者も賃金格差が減ってきています。 エンジニアの職業観も大きく変化しており、実感として優秀な人ほどテレワークを好む傾向にあります。最近の若い経営者も、face to faceで仕事をする必要性をさほど感じてはいないようです。テレワーク100%を提供できる、あるいはそれに近い環境を提供しやすいという点では、スタートアップ側の方が有利だと思います。ただリモート環境下にあってもチームビルディングが出来ない経営者は組織崩壊を起こす危険性がある点は注意が必要です。

國本:スタートアップへの資金提供面では、エンジェル投資家がこれから増えていく必要であると考えています。若い人を応援したいと考える資産家が、地方において重要な役割を担われると思います。
岡:JSSAにはエンジェル投資家が70人以上います。純粋なエンジェル投資家、CVC立ち上げ準備中の起業家などです。ファンド出資だけでなく個別投資も行いスタートアップのバリューアップに貢献いただくケースもあります。地方には上場した経営者が少なく、情報交換ができるコミュニケーションの場が求められています。


※「THE INDEPENDENTS」2022年5月号 - P17より
※冊子掲載時点での情報です